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「#幼馴染」のBL小説を読む
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陽だまり2[1/4]

昨日の門番が申し訳なさそうに近藤さんと一緒に病院を訪れて。

「傘を差してなかったんですよ、それで」

「タクシーは?!」

「いえ、いらっしゃった時も徒歩でしたし。帰りも。ドシャ降りの中で傘も差さずに歩き出したので、すぐに声をかけて傘をお持ちした時にはもういらっしゃらなくて…、すいません!!あの時副長にお知らせしていれば」

泣き出しそうな顔で俯く門番はまだまだ新人のこれから有望な未来ある隊士。

責めたら切腹でもしそうなほど、消沈しちまってる。

「お前のせいじゃねえ、気にすんな」

そう言ってやれば、ほんの少し楽になってくれてるだろうか。

「トシ、花奈さんの具合は?」

「ん…、あんまり良くねえんだ」

肺炎を起こしていた、あの息苦しそうな胸の音はそれだったのだ。

夕べ、何で寝室を開けなかったのだろうか。

気になったはずなのに。

…それは今まで開けたことがねえからだ、…アイツを愛してやる勇気がオレには…。

あんなにオレに手を差し伸べてたってえのに。

また向き合う勇気を持てぬまんまで…。

「トシ、また自分を責めてんだろ」

何もかも知った顔で、近藤さんが言う。

「んなこたァねえ」

口先だけの強がり。

そうでも言わなきゃ、立ってられねえほど。

失う、という感覚はもう二度と。




「土方さん、奥様がっ」

廊下で待機してたオレの元に看護士が走ってくる。

弾かれたように立ち上がり、後に続く先で。

花奈がボンヤリと空中を見ている。

「花奈…?」

呼びかけるとオレを見上げて、そして。

「はい」

嬉しそうに笑う。

そっと手を伸ばして頬を撫でてやると。

「…十四郎、さん…」

微笑んで、オレの手に自分の手を重ねてきた。

冷たくて小さな手。

それを温めるように両手で包み込んで。

「…ここにいっから…ずっと」

峠を越えた花奈を励ますように声をかけると。

「はいっ…」

零した笑顔に、心底ホッとする。

…なァ、側に…いてもいいか?

今までよりも少しだけ。

触れるだけでいい…。

花奈の寝顔を見ながら、そう懇願するのは。

ここがきっとあの日失った場所だからかもしれねえが…。


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