君に届け!2[1/4]
「で、あるからしてえ!本校の生徒であるという自覚のもとに節度ある行動を〜」
…なげえ…、新幹線出ちまうぞ、コラッ!!
校長の剥げ頭をじっとり睨んだ。
チラリと横を見れば、花奈が真っ直ぐ立ってその長い挨拶を聞いていて。
オレもそれに習ってほんのちょっとだけ背筋を伸ばした。
「次に実行委員からのお知らせです」
花奈と、そして他のクラスの実行委員が前に出て実行委員長が何か長たらしい挨拶始めてる後ろで。
私語は慎みなさいよ、君たち!!!
花奈と土方がしおり見ながら何か話している様子が。
まァ、胸くそ悪ィったら。
別れて既に1ヶ月近くですけど?
未練?タラッタラですけど、何か?!
でも、ホラ、ね、宣言されちゃったしね?
『なかったことにしたい』
近づけるわけねえ、…その間に向こうはどんどん距離縮めたみたいだけどな?
『京都の自由時間、…一緒にいたいな』
花奈の言葉通りだったら今頃予定立てて盛り上がってたはずだってえのに。
「銀時、お前の番だ」
「あ?」
ヅラに促されてカードを出した。
ボーっとしてたらしい。
何が楽しくて新幹線の中で馴染みの野郎ばっか4人でUNOなんかしてんだよ、オレら。
「隣が気になって仕方ねえんだろ」
「あ?」
哀れんだような笑いを浮かべる高杉に、うっせー、としか返せない、オレ乙!!
通路挟んだ隣の席には花奈と神楽、妙、九兵衛。
女子同士楽しそうにワイワイUNOしてる、ってそっちもUNOかよ!!
てかね、オレらの班だけだからね?
女子男子別れちゃってんの!!
他はアレだよ?2対2ぐれえでイチャコラしやがってコノヤロォォォ!!
別れる前に決めた班だったから…まさかこんな気まずい状況になるなんて思わなかったってえの。
「おんしのせいじゃき」
辰馬が笑いながらドロー4を出してきた。
チキショ、4枚引くのか、オレ!!
使えねえカードばっか来やがったし!
「あ?何でオレのせいだってえの?!」
睨み上げれば辰馬は珍しく真顔で。
「お前が女子から嫌われちょるきに、わしらまで被害をこうむったぜよー!!」
ドーーン!ドロー4!!!ってお前、何枚持ってた?!
「寝るッ!!」
カードぶん投げてフテ寝に入る。
富士山見たって面白くもねえし、起きてりゃ目の前はむさ苦しい野郎ばっかだし。
「ガキか、お前は」
ヅラの優等生ぶった台詞が滲みてくっけど…そうさ、ガキだよ、むっちゃガキですからねェェェェ!!
…アイツが自由時間、誰とどこに行くか、気になって仕方ねえんだよ。
学ランのポケットに手ェ突っ込んでみりゃ、チャリっと金属音が微かに鳴る。
あの日返されたネックレス持ってきちまった、…渡せるわけもねえのにな。
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