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日付が変わるその前に[1/4]

花奈が買い物にでも出かけるのか玄関へと向かう姿が見えて。

慌てて後を追いかけた。

胸元に例の物が入っているのか、再確認。

玄関で追いついたら、絶対に。

その角を曲がる瞬間に聞こえてきた話し声。

「花奈チャン、誕生日おめでとォォォ!!!」

近藤の笑い声が響き渡る。

「わぁっ、近藤さん!覚えてて下さったんですか?!」

コッソリと角から様子を伺うと。

花奈に何やら箱を差し出している様子。

「今出かけるトコでしょ?」

「ええ」

「だったらさ、羽織っていって?」

「え?」

箱から出てきたのは厚めのストール、花奈が好きなピンク色でよく見ると小さな雪の結晶があしらわれている。

「近藤さんがお選びに?!」

「あ、あははは、やっぱセンスないかなァ、オレ」

「そんなことありませんよ!!可愛いです!!でも、いいんですか?こんな高そうな」

肌触りを確かめるような花奈に近藤は首を横に振る。

「いいの、いいの!花奈ちゃんには隊士始め、ホラ、トシが世話になってるでしょ?」

「え、っと、その…」

真っ赤になって俯く花奈に近藤は、だからその御礼と微笑むと花奈は深く深く頭を下げる。

「ありがとうございます!!大事に使わせていただきますから」

「うん!寒いから気をつけて行くんだよ?じゃあねっ!」

手を振り自室に戻っていく近藤を見送り、花奈が草履を履こうしている。

よし、今だ!と花奈の側に近寄ろうとすると。

「ただいま〜!あ、花奈さん、お出かけですか?」

外から今度は山崎が帰ってきた。

「おかえりなさい。今から買い物ですけれど、あんぱん入ります?」

「あ、3つお願いしてもいいかな?夜にまた張り込み出かけるから」

「わかりました」

ッチ、山崎ィ、テメエは自分の買い物を何で花奈に頼みやがんだ?

あ?今までもそうだったのかァ?!

うん、大分手馴れた掛け合いを見れば、花奈を以前からこき使ってやがったに違いねえ。

…まぁ、極中法度だな、うん。

「あ、ゴメンね、忘れるトコだった、ハイ」

「え?」

山崎が無造作にポケットから包装紙にリボンのかかったものを花奈に手渡している。

「誕生日だよね?いつも世話になってるから」

驚いた花奈がそれを開けると中からはピンク色の手袋。

「今これ近藤さんに貰ったばかりで、何だかお揃いみたい!本当にありがとう、退くん!!早速使わせてもらうねっ」

…オイィィィ!!今、何て言ったァ?!

退くん、って、何だよ、オィィィ?!

オレなんかまだ土方さんだぞ、たまに、ひじかったかたさんだぞ、オイ!!!

やっぱ、アイツは即刻切腹だな。

花奈が山崎に手を振り出かけて行くのを見計らって。

上機嫌で玄関で靴を脱ぐ山崎の背後に立つと。

何か只ならぬ気配を感じたのかビクンと背筋を伸ばしぎこちなくこちらを振り向いた。

「副長?」

「おう、でェ、お前今日中に腹掻っ捌いとけ」

「エ、エェェェェェ?!」

響き渡る山崎の悲鳴がまたムカついてその背中を蹴飛ばしてやった。





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