ストレスなんて吹き飛ばせ![1/4]
「銀ちゃん、聞いて下さいよ」
目の前のジャンボパフェにオークを伸ばすと、その向こう側から銀ちゃんも又フォークを伸ばしてきて、お互い一つしかないメロンを突き刺した。
「ちょ、花奈ちゃん、これ銀さんのね?花奈はさっき苺食べたでしょ?で、何?!」
「いやいやいや、苺二個あったし!!一個ずつ食べたよね?それよりも、銀ちゃん桃食べたよね?あれは一個しかなかったもの!!話はメロン戦争の後でっ!!!」
お互いに譲る気はないらしい。
「へ?そうだっけ?でも、アレだろ?パイナップル食ってたよね?後キウイとオレンジも。話せばいいじゃん?銀さん相談料でメロン貰ってやっから」
「それ複数個あるやつじゃん!いいじゃん、こんぐらい私に譲ってくれてもォォォ!!相談料高くない?!」
「え〜?!」
そう言いながらフォーク戦争に負けた私から無情にも銀ちゃんの口にメロンは運ばれて、パクン。
一口で半分ほど頬張ってから。
「じゃ、半分こね?」
と私に、アーンと口を開けさせる。
控えめに口を開けると、メロン放り込まれて口中に広がる甘さ。
美味しいっ…、けれどそれより。
…間接キ…。
「どうした?花奈、もう食わねえの?!」
そっちばっかり気になってボケッとする私に、食わないなら銀さん全部食べちゃうからな、と笑うその人に。
「食べます、食べますよォォォ!!!!」
慌ててパフェにスプーンを伸ばし、食べるのを再開。
「で?聞いてくれって言ってなかったっけ?さっき」
「そう、そうなんです!!私、もう真撰組辞めたいっ!!」
「今月初な?今年トータル何回目だっけ?」
「さぁ?辞めたいが口癖になりつつありますから」
はぁぁとため息を漏らせば銀ちゃんが苦笑している。
「また、アレ?総一郎くんと大串くん?」
「デカイのはその2人ですね、でも局長は相変わらずストーカー行為を繰り返してて私それだけでもうとんでもない組織に組み込まれたなって大迷惑だってのに。あの2人は更に輪をかけて私を追い込むんですよね、何のつもりなんだろ、私にストレス死を与えたいのかな?」
「ストレス死って何よ、動物かなんかか、花奈は」
「人間だって動物です、いつか私ストレス死するかハゲるかどっちかです、ああ辞めたい」
「辞めてどうすんの?もうこんなジャンボパフェなんて食えなくなるよ?仕事辞めちゃったら」
ゲッ!!!
「そ、そうなったら銀ちゃんが奢ってよ?今まで私が奢ってきたわけだし」
「ま、毎度じゃないでしょ?!銀さんだって奢ったよ?団子とか駄菓子とかだがしかしとか」
「だがしかしは甘くないし!!…けど、ジャンボパフェ食えないのは困るから辞めるのは辞めるとして、だ」
うーん、ストレスの無い健全な会社ってどうしたら作れるのだろうか。
「銀さんに依頼しちゃおうっかな」
「何を?」
「局長、副長、隊長の暗殺」
その瞬間生クリームを頬につけたまま銀さんはギョッとした目を見開いて私を見ていた。
「花奈ちゃん、マジで疲れてんだな、オイ」
「だから言ってるじゃないですか、もうこれだけが私の楽しみなんだよ」
…銀ちゃんとこうして甘いもの食べること。
銀ちゃんに色んな悩み事相談しながら。
こうしてることが唯一の私の楽しみだってこと、銀ちゃんわかってるのかな…?
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