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絶対服従!![1/4]

「いらっしゃいませ、ご主人様ぁっ」

ご主人様は2人連れ。

「あー、オレ、ホット苺ミルクに花奈ちゃん特製の愛を目一杯入れたヤツひとつ」

あたしの名札を見て、白色のもじゃもじゃヘアのお侍さんが指を一本立てた。

「かしこまりましたっ、ご主人様はどうなさいますかぁ?」

もう1人、黒いもじゃもじゃヘアでサングラスをかけた不審なご主人様はメニューを上下逆に読んでいて。

驚いて直して差し上げた。

「ああ、こう読むがか!!ちくっと間違うてしもうたぜよー!!」

店中に響き渡るようなアッハッハという笑い声に。

白もじゃさんは、バシンっと黒もじゃさんの頭を叩いて。

「うっせーよ、オメエ、いいからとっとと注文しやがれってんだ!花奈ちゃんが、ずっと待ってんだろうが!!」

「すまんのう〜!!地球に来たのは久し振りじゃきー、勝手を忘れてしもうててのー」

どうやらこの2人、白もじゃさんがツッコミ、黒もじゃさんがボケの役割のようだ。

「オメエの場合はただ単にバカだからだろうが、ホット苺ミルクでいいんじゃね?オメエのには花奈ちゃんの愛は入ってねえけど」

「ほりゃあイカンが!!わしも花奈ちゃんの愛ば欲しいがか」

「かしこまりました、ではホット苺ミルク花奈の愛たっぷり入りでお持ちいたしますね、ご主人様っ」

いつも通り小首を傾げたあたしに白もじゃさんが驚いた顔をしていた。

「っ、どうかなされましたか?何か粗相でもいたしましたでしょうか?」

不安になって周りを見渡す。

だってまだ入店初日、実は正直勝手がわからない。

ただお客様の気持ちを大切に喜んでいただけるように、お客様はご主人様です、ご主人様のいうことは絶対ですよ、とだけ。

教え込まれて、超ミニのメイド服着せられてヒョイっと接客に出されたのだから。

何となくこんなもんでいいのかな?と接客したけれど。

間違ってるのだろうか…。

「花奈ちゃんさー、幾つ?」

「18です」

「若え!だもん、肌ピッチピチ」

スッと白もじゃさんの伸ばした指先が顕になっている太腿を撫でて。

「っう…」

くすぐったさと恥ずかしさで硬直した。

「おい、金時、そがなことしたら花奈ちゃんが困っちょるじゃろう」

言いながら黒もじゃさんは、あたしを庇うように自分の後ろに隠してくれたけれど。

腰に巻きついたその指先がサワサワとそこを触っていて。

益々硬直してしまう。

「へぇ?」

白もじゃさんの目つきが何だかちょっと怪しい感じがして。

「あ、あの、今お飲み物お持ちいたしますっ、もう少々お待ち下さいっ、ご主人様っ」

そう言って厨房に向かって走り出した。

白もじゃさんに触れられた太腿と、黒もじゃさんが触れていた腰のあたりがゾクゾクしちゃって。

きっと、今顔が真っ赤だ…。

…超自覚、あります、ありすぎます!!

あたしがこのバイトを選んだ理由がそこにあるから。

ご主人様と呼ぶ背徳感。

何となく蔑まされたい。

命令、されて、みたい…。

根っからの、ドM…だということに気付いたから。

なので、さっきのお2人さんのように扱われちゃうと、ドギマギしちゃうんだもの。

ホット苺ミルクを作りながら気を引き締める、これはバイト、今はバイト中。

だけど、さ。

2人ともカッコいいんだもの、タイプ、なんだもの。

あのSっ気も含めて。




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