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久々に見た花奈の姿は頭に妙チクリンなネットを被った姿だった。
「…何ソレ、流行ってんの?」
多分、10日ぶりだというのに『久々じゃねェか』や『元気にしてたんかよ』じゃなくて。
真っ先に口を突いて出たのは、その言葉だった。
「コレですか?」
花奈は恥ずかしそうに笑って、頭に被ったネットを指差した。
「メロンじゃないですよ?流行ってもいませんし、1週間ほど前でしょうか。気付いたら病院に運ばれて、コレ被ってました」
「へ?」
「車に撥ねられたらしいんです、でも背中に背負ってた風呂敷包みがクッションになって運良く身体は平気だったんですけどね。頭は打っちゃったみたいで、ちょっと縫いました」
「ウェェェエ?!大丈夫なのかよ?だからかよ?その変な言葉遣い、気持ち悪ィから止めてくんね?」
さっきから纏わり突く違和感は、花奈が発するその敬語だった。
「変ですか?そうなんですね?」
困った顔でオレを見上げた花奈に、うん、変、と言ってのけたことを後悔した。
「私、ここ一年くらいの記憶が失くなってしまったみたいなんです…。あなたはもしかして私の知り合いですか?」
…え?
エェェェェ?!
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