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Look at me[1/4]

「花奈…?」

玄関前膝を抱えて泣き崩れているのが最近お気に入りのあの子だとわかって。

「どしたー?」

泣きじゃくるその頭にポンと手を置けば。

「っうぅっ」

唇噛みながら見上げた顔はどれだけ泣いたのか目も鼻も真っ赤で。

「銀時、せっ、せんぱっ」

息もうまく吸えねえでやんの!!

「どした?何か悲しいことでもあった?」

花奈の目の前にしゃがみこんで目線を合わせると。

「っ、なんでもっ、ないで、っす」

ヒックヒックと嗚咽で言葉もうまく話せない。

「何もなくてこんな泣かないでしょー?!」

ヨシヨシと撫でてやりながらも花奈からずっと目が反らせずにいて。

だってそうだろ?

花奈はバカみてえに明るいし?

決まって話題は美味しいスイーツのことだったり?

アイドルの話だったり?

ちょっとオツムは軽いけど、いつも笑顔で元気いっぱいが取り柄のような子が、だよ?

…泣くなんて、何があってだ?

「銀さんが話聞いてやっから、あっ!!そうだ!花奈さ、前に行きたがってた甘味処あんじゃん!!アレ、今から行くか?」

「っうぇっ?!」

あ、鼻水出てるし。

鼻水出ても一応甘味処には反応すんのな。

やっぱアレだな、甘いものは人類に必要不可欠ってもんだよな、うん。

ハンカチでその顔拭ってから花奈の手を握って無理やり立たせる。

「よし、食いに行こっ、今日は銀さん奢ってやっから」

「…いっぱい食べちゃっていいですか?」

「へ…?」

「失恋のヤケ食いに付き合って下さいっ、銀時先輩っ!!」

「…へー…」

失恋、ってオマ…。

考えられるのはあの毛玉しかいねえ。

とはいえ、ヤツは確か琉伽ちゃんのことしか見えてなかったし?

花奈がいくらヤツのこと思っても不毛なんだってこたァわかってたから。

そうなる前にもっといい男が目の前にいんだろって。

振り向かせるつもりだったんですけどォォォ…、アレ?

ってこたァ、高杉くんも失恋じゃね?

だって琉伽ちゃんもアレどう見ても毛玉しか見えてなかったしね?!

後は二人くっつくだけってことでしょ?!

ちょっとザマーミロじゃね、?高杉!!

込み上げて来る笑いは隣を歩く花奈の嗚咽にどうにか堪えて。

オレの手をギュッと握り締めて必死に歩く花奈の姿を見てると。

…あ、そっか、オレも失恋してんじゃん?!

高杉笑えねーし!!って。

いやいやいや、高杉とは違うよ?!

オレの場合はこっからだからね?!

こっから怒涛の追い上げを見せるわけよ。

「何食べますかァ?今日はなぁんでも奢っちゃうよォォ」

甘味処の端っこの席、向かい合って座った花奈にメニュー表を渡すと。

ゴシゴシと真っ赤な目を擦りながらメニュー表を睨んでいる。

この店に揃ってるのは一見和風なスイーツばかり。

が生クリームたっぷりな実際は洋スイーツなんだけど。

「何でもいいんですよね?!」

いいよォ、大盛団子パフェだろうがカステラシフォンホールだろうが。

昨日バイト代入ったばっかだし花奈のためならパァッと使ってやんよ。

いっぱい食って笑えるようになんなら、今はそれでいい。

「本当に何でもいいんですか?」

「いいよー」

女の子のヤケ食いなんて可愛いもんだろ。

「じゃあ全部一品ずつ」

「ハイ?!」

「すいませーーーん、全品一品ずつお願いしますーーー!!」

エエェェェェエエェェ?!


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