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「#幼馴染」のBL小説を読む
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陽だまり1[2/4]

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『どうだろう?』

父に差し出された見合い写真。

若く美しく、だけど目が鋭い人。

それが彼の第一印象。

『お父様は、結婚して欲しいのでしょう?』

『それは、まぁ…、真選組を管轄下に置きやすくなるからな』

一ツ橋派の父が将来を見据えて、真選組の局長か副長へ私を嫁がせて。

将来は見廻り組同様に、一ツ橋派へ取り込もうという魂胆だ。

『お相手の方もそれはおわかりなのですよね?』

『ああ、遠い将来の心配よりも一先ずは現在の真選組の安泰だろうからな』

幕府高官である父に認められれば、真選組への資金援助もまた増え潤う。

『…わかりました』

可哀想な人、と思った。

私なんかを娶らなければいけないというその責務に負われてしまうこの人は。

『本当ならば近藤くんがいいのだがな。アレはダメだ。惚れた女がおる』

『っ、この方にはいらっしゃらないのですか?』

『さぁな、調べても現在この男には女の影もない。だが、昔は』

言いかけて口を噤んだ父が気になったものの。

…土方十四郎さん。

私の将来の旦那様になる人。

もう一度写真を見つめて、その瞳を見つめた。

さっき感じたような鋭さよりも、気にかかることは。

…寂しそうな顔をしてらっしゃる、ということ。

その理由など全くわからないままで。

一度だけ逢って、そして私たちはすぐに結婚させられたんだ。









『娘は身体が弱い、なるべく負担になるような真似は』

見合いの席での父の言葉にチラリと私を見て。

『わかりました」

とだけ呟いていた。

だから、なのですか?

十四郎さんが、私に指一本触れぬわけは。

いえ、それだけではないのかもしれません。

あなたには不釣合いなどこにでもいそうな平凡な顔で。

何かに秀でているわけでもない私など。

興味の対象になどなろうはずもない。

夕飯を作ることも起きてあなたを待つことも全て断られてしまって。

…私が、ここにいる意味は…。

あるのでしょうか?

私は、ここに…あなたの側にいたいのに。





『っ、やっ…』

『危ねッ!!!』

後は若い二人で、という仲人のお決まりの言葉に庭に出た。

早足の十四郎さんを追いかけようとして庭の飛び石に躓いた瞬間。

十四郎さんが抱き支えてくれたおかげで転ばずに済んで。

『ありがとうございます』

見上げた先で視線が絡み合う。

思っていたよりも優しそうなその目を見つめたまま反らせずにいて。

先に反らしたのは十四郎さん。

『…すまねえ、人の歩幅なんてわからねえもんで』

一見冷たそうに見える横顔だけれど。

『いいえ、大丈夫です。と、…十四郎さんのペースで歩いていただければ後を追いますので』

そう言うと驚いたような顔で私を見下ろして。

差し伸べてくれた手。

『部屋まで、だ。また転ぶと困ッから』

ほら、やっぱり。

少し赤いお顔に、嬉しくなって私もその手に素直に掴まる。

…触れたのは、それ一度きりだけれど。

優しくて大きくて温かな手、でした。

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