溶けるチョコ[3/3]
「オレさ。365日、その内お前の顔見たのって、300日ぐれえあんだろ、多分。かぶき町歩いてりゃどっかでぶつかるし、こうやってココに来たりオレがお前んとこで飯食ってたり」
ああ、そうだ。
そんなにも私は銀時と長い事顔を合わせていたんだ。
「飲みに行ったりよォ、花見とか色々な。…そこにお前がいねえなんてオレァ考えられねえっての」
「…知らないよ、また誰か付き合ってくれる相手見つけりゃいいじゃん」
「いらねー、花奈ぐれェ一緒にいて楽しい女なんて、宇宙中探したって見つかりゃしねえだろうが」
「だったら、あんた、あそこにある全部のチョコ捨てて。私のだけ選べるっていうの?ヤダよ、私、あんたのその他大勢なんてもう飽き飽きだよ」
見上げた瞬間の銀時の目が一瞬、悲しげに揺れて。
「…んなこと言うなよ」
と離れた身体に、ようやっと銀時のケジメを感じた。
わかってくれたんだ、って。
私はあんたの側にはいられないってこと、わかってくれたって思った。
、はず、だった。
「その他大勢を好きになんかなんねえっての!!」
勢いよく開け放した窓。
そこにソファーの横にあった全てのチョコレートが。
ドバァッと投げ込まれていくではないか!!!
「ちょ、あんた何やってんの?!」
「何って、コレしかいらねえって言ってんでしょ」
そう言って、私のあげたチョコを開けて、口いっぱいにそれを全部含んでる。
「…バカでしょ」
「バカで結構でふ〜!!」
モグモグと口の周りチョコだらけにした銀時はそれを飲み込むとニカッと笑って。
「さァ、これでお前のだけ選んだってわけだ」
「…」
「だから花奈も覚悟きめろよ?」
「は?!」
「また怪我すっかもしんねえけど、それ世話すんのお前だけだし、お前の看病しかいらねえ。今後オレがチョコ貰う相手はお前だけ。だから振ってやるなんざ言うんじゃねェよ」
何も言えずに立ちすくんでいると、引き寄せられてまたあの甘い匂いのする胸の中に閉じ込められる。
「…面倒なんだけど、結構もう結婚の日取りとか煮詰まってきてたりして、そんなんぶっ壊すの」
「うっせー、そんなん今からお前の親父んとこ行って娘さん貰っちゃいました、って断言してきてやんよ」
「ちょ、まだ貰われてないからね?」
「や、これから貰うし、実物大チョコ」
どっちがチョコなの、と思うような甘い甘いキスの味が口いっぱいに広がっていく。
「あ、娘さん食っちゃいました、つったらやっぱ怒られっかな」
「ちょっ」
「…食うけどね?遠慮なく。どんだけお前銀さんの前でその悩ましボディーひけらかしてくれたか知ってんの?!」
「え?!」
「我慢してたんだよ、銀さん!!酔っ払って一緒に寝ててもな、手ェ出さねえでやったんだからな?」
「一回だけ、胸揉んだよね?」
「…一回だけだ」
オレだって色々我慢できねえ時だってあったんですぅぅぅと膨れる銀時にクスクス笑うと。
「余裕あんじゃん?」
カプッと首筋を噛んでくるバカがそのまま首筋を食べまわるように這う。
「甘ェ…これ、ずっと欲しかったんだけど」
目が合うとその紅い瞳が優しく微笑んでいて。
「…バカッ」
零れた涙を合図のように、抱きかかえられて隣の和室へと運ばれる。
きっとチョコのように食べられちゃう。
…なんでこんなことに。
恥ずかしくて泣き出しそうな私に、いいから覚悟決めろって、と妖しく笑うあなたに組みし抱かれて。
「側にいろよ」
甘く見下ろされたら、
もう、頷くしかできない。
Happy Valentine!!
fin
アトガキ
甘い甘いのを書きたかったけど
甘さが今一歩足りない、ううう、私の技量不足です〜!!
やっぱ甘いもんって言えば銀ちゃんだろな♪
いっぱい貰えただろうな、うん(笑)
皆さんはどんなバレンタインお過ごしですか??
2014/2/14 茅杜まりも
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