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もう一度だけ[2/7]

「なァ、新八ィ。銀ちゃん振られたアルか?」

「シィッ、神楽ちゃん、そこはデリケートな部分だからね?そっとしといてあげようよ」

丸聞こえだってえの。

何なの、この子ら?

人の傷に塩をグリグリグリグリ。

泣きたいんですけどォォォ、いや、マジで。

本気と書いてマジでェェェェ!!!

花奈の帰りが遅ぇことに気付いたのはもう夕方で。

「花奈さん、お出かけですか?」

外から帰ってきた新八にそう声をかけられるまで何とも思ってなくて。

「銀ちゃん、銀ちゃん、これ何アルか?」

ポストに入ってたという白い宛名の無い封筒。

「ああ?」

受け取って、中に入っていた手紙を開き全てを理解、した。

『今まで、ありがとう、銀ちゃん』

和室を開けて、押入れにあったはずの花奈の着物が入った箪笥を開けた。

中身は空。

すぐに風呂場に行き、花奈の私物であった化粧水やらが無いこと、替えの下駄もないこと。

それからこれは、ゴミ捨て場に行ってわかったのは。

花奈の使っていた食器なんかが、燃えないゴミとして捨てられていた、こと。

つまりは万事屋の中にこの2年間あったはずの花奈の存在は。

花奈自身の手により、全て無くなっていた、ということ。

「…何で、だよ?」

拾い上げた茶碗に落ちるのは、オレの…。

「ざけんなっ」

腹いせにそれを叩きつけて割って…そして襲ってきた後悔は酒で誤魔化す。


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