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大好き。[5/5]

「…って夢見たんだけど」

「…夢、じゃねェしな」

呆れたように銀ちゃんは私の頭を撫でる。

「銀ちゃん」

「あ?」

「眠そう」

「そりゃ、そうだつぅの」

ふぁぁぁと欠伸をする銀ちゃんは私が意識を取り戻さなかったこの3日ほとんど寝てなかったようだった。

「身体いてェだろ…ごめんな」

聞けばお腹を刺されて手術したのだとか。

出血多量で一時は危ない状態だったとか。

意識が戻らなければ、もしかしたこのまま一生、とか。

何だか怖い話ばかりされたようで、銀ちゃんは憔悴しきっていた。

「銀ちゃん…夢じゃなかったの?」

「ん?」

「銀ちゃんが大好きって言ってくれたの」

「…ちゃんと覚えてやがったか」

「…えへへ」

「今までもオレなりに態度で示してたはずだったんだけどなァ、何でわかんないかね?」

今まで、も?

全然わかんないって、わかりずらいって銀ちゃん。

「…銀ちゃん?」

「ん?」

私の布団の上に頬杖付いて、頭がカクンと揺れている。

眠くて仕方ないのだろう。

その髪の毛を天パをほぐすように、優しく優しく撫でてみれば気持ち良さそうに目を瞑る。

「大好き、だよ?」

忘れられないように、念を押してみれば。

「…その倍、いや、何十倍だ、あぁ、クッソ…」

まどろみから一瞬だけ片目を開けて。

「退院したら、…覚悟しとけ?」

伸ばしたその銀ちゃんの長い指先がそっと私の唇に触れて。

真っ赤になった私の頬をそのまま優しく撫でる。

…銀ちゃんって…恋人にはこんな顔するんだ…。

って、…恋人、で、いいのかな?

「ん?」

不安になった私の心を見透かすように首を傾げる。

「あ、そっか…そうだよな」

微笑んで、

「オレと付き合ってくんね?…大好きなんで」

労わるように優しいキスが私の手の甲に落ちてきて。

うん、と頷けばそのキスは頬に、おでこに。

最後にチュッと短く唇に落ちて。

「ヤベ、止まんなくなるって」

赤くなって、必死に自分を制している。

「だからよ、死ぬとか言うなよ?」

「え?」

「幸せすぎて死ぬとかなしな!!幸せすぎんなら、オレと一緒に生きろ、コノヤロー」

だからね、私も笑って言ったの。

「幸せすぎて、死ねねェぞ、銀ちゃんが大好きだァ」

大きな声出したらお腹の傷がピッと引きつって、イダダダダダと苦しんでる私に。

「飽きねー女」

って笑ってくれて。

あぁ、やっぱ声に出せないけれど。

幸せすぎて、アレだわ…、と。

銀ちゃんの髪の毛撫でながら2人寄り添って目を瞑る。

大好き、大好き、大好き。

きっと、銀ちゃんの寝顔が笑ってる気がして。

私も頬を緩ませたまんま、眠りへと堕ちて行く。

今度はもっと素敵な夢が見れそうな、銀ちゃんの柔らかな髪の毛を感じたままで。







アトガキ

あぁ、銀ちゃんが好きすぎると再認識して大好きをぶつけてやりました、好きだ、コノヤロー!!!!

2013/6/24 茅杜まりも


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