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君の側で[3/11]

「銀時から聞いたんだってな、あのヤローの留学の話」

「聞いた、聞いた。あれだよね〜、辰馬って金髪美人とかさ連れて帰ってきそうじゃない?バカだからさ勉強じゃなくてそっちに頭持っていかれそうな気も」

「バカはオメエだろ、何で言わねえ?!」

「ははっ言うわけないよ、だって…。私何だかもう疲れちゃった」

「あ?」

「だって6年だよ、6年。少なくともこの6年、辰馬の一番側にいた女子って私じゃない?なのに、何も告げずに行こうとしてんの。…ほんのちょっと自惚れてたかもしんないから、ショックはデカイわけだよね」

食べ終えた包みをゴミ箱に突っ込んでポテトとジュースを手にする。

「私も男だったら良かった」

「は?」

「だってそしたら仲間はずれにされなかったかもしれないでしょ。私にだって教えてくれたかもしれない、…1人だけ内緒にされるのって、寂しいよ、ね」

ジュース飲みながら笑ったつもりがまた零れてくる涙。

「ッチ、そうやってずっと1人で泣いてたんだろ」

「泣いてないっ」

「嘘つけ、目ェ腫れ上がって不細工なんだよッ」

側のティッシュを数枚引き抜いて私の目頭に当ててくれる。

「お前だって、銀時にしか相談してなかったじゃねえか。オレやヅラには内緒にしてやがっただろ」

「いや、だって、あれはたまたま銀時に鎌掛けられて無理やり白状させられたからで」

「…わかってる。けど、もうバレちまってんだからな?こんな時ぐれえ1人で泣いてんじゃねえ。オレでも銀時でもヅラでもいい。呼べよ?お前の泣き顔なんざ誰も見たくねえから」

晋助はそのままTVをつけて私の肩を抱きしめてくれて、夕方までずっと側にいてくれたんだ。









『花奈、心配したであろう!!何故もっと早く連絡を入れぬか?!』

電話の向こうでケンケンとヅラが怒鳴っている。

怒ると長いんだもん。

さっきようやく銀時からの説教に解放されたってのに。

ヅラはメールにしとけば良かった、銀時以上に説教は長いんだもん。

「ゴメン、ゴメン、晋助が遊びに来てたからついウッカリ連絡すんの遅れちゃって」

『高杉と一緒であったか、ならば良いが…、あ、ちょっと待ってくれるか?』

「うん?」

『花奈、どうしたかえ?風邪でも引いたかえ?』

電話の向こうのその声に驚いて声が出ない。

『花奈、どうしたがだ?もしもし?もしもし?』

思わず、電話を切って電源を落とす。

聞きたくて、でも聞きたくなかった声。

ヅラと一緒だったんだ、辰馬。

…心配、してくれてたのか…。

しばらくして電源を立ち上げるとヅラからの着信がそれから5回も入っていた。

きっと、明日また怒られちゃう。

…辰馬が悪いんだから…。

そう思わないとやってられなかった。


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