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君の側で[2/11]

いなくなる。

辰馬がいなくなるなんて思わなかったな。

最近何だか少しだけ寂しそうな顔をしてる時があって、もしかしたら留学のことで悩んでたのかもしれない。

でも、もう友達ですらない。

だって、友達には報告するでしょ?

私はそれ以下、らしいもの。

目覚めてすぐそれを考えて、また止まったはずの涙が溢れてくる。

…もう、あのニカッと大口開ける笑顔見れないんだ。

あの、妙ちくりんでけれど何だかホッとする訛りも聴けなくなるんだ。

勝手にいつか思い出になって、私の中でもそうなるはずだって、そう思うのに。

苦しいと悲しいと寂しいで胸がギュウギュウになっちゃって。

喉に何か詰まってるみたいだよ、苦しすぎて息をするのもツライ。

銀時から話を聞いて一晩中泣いて泣き明かして。

目は腫れぼったくてとてもじゃないけれど、大学に出向く気にすらなれない。

誰にも何も言わずにサボってしまった。

何もなくてもあそこに行けば誰かしらいて、気付けば5人固まって過ごしていたのにな。

そう思いながら、また泣いて。

少し泣きつかれてウトウトしては、また泣いて…。

気付くと昼過ぎ。

ものすごいピンポン連打で目覚めてしまった。

…一体何事?!

お母さんもお父さんもまだ仕事から帰ってくるわけもなく、なら集金とか?押し売り?!

インターフォンに映ったのは。

「晋助?!」

『やっぱいるんじゃねえか、シカトしてんじゃねえぞっ!!』

玄関に行きドアを開けると晋助が仏頂面で立っていて、オラと私に何かを手渡してくる。

「マックン?」

紙袋の中にはマックンのハンバーガーが二個とポテトが二つ、そして飲み物も二つ。

「私、モッスのが良かった」

「なら食うな!!」

ギロリと睨まれて何も言えなくなり晋助にスリッパを出して中へと促した。

大学から一番近くにあるのは私の家で、しかも私のうちの前を経由して帰る晋助はたまにこうして帰り道なんか寄ってくことも多いけど。

「まだ寝てたのか?」

パジャマ姿で頭もボサボサなので見た目にも明らか。

「…ちょっと頭痛くてさー」

リビングに通すと晋助はいつものようにドカッとソファーに座ってハンバーガーを一つ食べ始める。

私もその横に座ってハンバーガーの紙包みを解きながら。

「…抜いてくれてない…、ピクルス嫌いって言ってるのに」

「テメエ、いい根性してやがんな、人の奢りにケチつけてんじゃねえよっ!!」

そう言いながら晋助は私のハンバーガーの間に詰まったピクルスを取り除いて食べてくれた。

「で?頭痛いからメールに返信もできねえって?電話も出れねえってか?」

「え?」

言われて慌てて部屋に行き、携帯を見ると。

着信が10件、内訳は銀時・晋助・晋助・銀時・ヅラ・ヅラ・ヅラ・晋助・銀時・銀時。

メールも5件、晋助と銀時が二件、ヅラが一件。

「…ゴメン、鳴らないように設定してたみたい」

「…テメエが何の連絡もしねえで休むなんざ、今までにねえから。皆心配したんだろうがッ!!後で全員にメールしろッ!!」

「へーい…」

言いながら携帯はそこに置いてまたハンバーガーを食べ始める。

悲しくてもお腹は減る。

食欲無くなるほどの失恋じゃないってことだ、うん。

「晋助は今から帰るの?」

「ああ、だからついでに寄ってやった」

「そっか」

確か今日は午後からも取りたい学科あるとか言ってたくせに、…ありがとう。


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