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君に届け!3[4/6]

残されてその気まずさに花奈の顔をチラチラと見れば。

「…坂田クン…これね」

花奈の掌で光るネックレス。

結局、これ戻されるってわけですか…。

「捨てたらいいじゃん」

花奈の掌からそれを奪うと。

いらないんでしょ、とブンッと大きく振りかぶって遠くへと投げた。

「あっ!!!!」

追うように花奈が走り出した。

「え?ちょ、花奈っ?!」

その後を追うと、ネックレスが落ちたらしい草むらの中で花奈が必死になってそれを探していて。

「っ、何やってんだよ、いらねえんだろ?」

止めろって、もう、とその腕を掴むと。

「いらないなんて、言ってない!!!」

泣きそうな顔の花奈に驚いてその腕を離した。

「…ほっといてよ」

しゃがみこんで探し出す花奈の小さな背中から感じる拒絶感。

けどっ…。

「っぎ…」

オレも近くにしゃがんで一緒に探し出した。

ようやく見つけたのはもう日が傾き始めた頃。

「…おらよ」

土だらけになった花奈の手にそれを落としてやると。

何も言わずに、汚れたネックレスをハンカチに包んで。

「…いらねえんじゃなかったの?」

だって返したじゃん、別れたとき…、なのに何でそんな大事そうに…?

「坂田クンには関係ない」

「また、それ?関係あんだろ、だってそれオレが花奈にっ」

「…もうちょっと、だから」

「あ?」

「ちゃんと…忘れるから…それまで持ってていい?」

「花奈、それって」

背中向けたまんま立ち上がった花奈を。

背中から抱きしめる。

「…忘れんなよ…、てか忘れさせねえ」

「坂田クン…」

「バカだろ、オレ。お前と別れた3秒後にゃめちゃくちゃ後悔してた」

この温もりも匂いも全部、失うなんて…。

手放すなんて、バカじゃねえの?!

「…も一回、チャンスくんねえ?…絶対、絶対、もう…花奈泣かすような真似」

遮るのは切羽詰ったような花奈の涙声だった。

「だって、…怖いもん!!また捨てられるの、めちゃくちゃ怖いんだもん…だから無理っ。…好きだって言ってくれたくせに、こんなにいっぱい好きにさせてバイバイされて…もう怖いよ…っ、怖いっ」

「花奈…」

「本当は三回目の告白の時にもね、断ろうって思ったよ…、怖かったから。自分が誰かをこんなに好きになるってビックリで…だから付き合ってもし失ったらって、いつもいつも怖かったのに…」

知らなかった。

「キライになりたいのに、いつも銀は私が遠ざかろうとすると側に寄ってくるの…。自分から捨てたくせに…だったらキライにさせて欲しかったのに…銀は…ズルイよ、バカッ…」

胸の中で泣きじゃくる花奈の初めて聞く心の中の声。

だからお前、いっつも優しかったってえの?

本当はオレのこと、…まだ…?

好きだって、言って?

オレのこと大好きだって…もう一回。


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