君に届け!3[3/6]
『アレ?!』
気付いたらオレのiPhoneケースがヴィヴィアンになってんだけど?
『お揃いっ!!』
ニッと笑った花奈の手にある自分のiPhoneも色違いのヴィヴィアンで。
『お小遣いで買えるのって、こんぐらいで…ゴメンネ、誕生日なのにっ』
『…いや、めちゃくちゃ嬉しいんですけど』
いっぱい考えてくれたんだろ?
『誕生日、おめでと…』
真っ赤になって笑う花奈を。
抱き寄せてためらって、少しずつ近付いた唇。
『マジでオレ…花奈のこともう離したくねえ…』
あー…っだよ!!離したくねえっての!!!
やっぱ、無理、お前を諦めるのは今じゃねえ、もうちょい先、もう一回バチンと振られてからにさせてくれっ。
「花奈っ!!!」
御守り買い終えて神社を後にしようとしている花奈に声をかけた。
「…っ、な…」
「やっぱ、オレ今日お前と歩きてえんだけど」
「…てめえ、後つけてきやがったのか?」
「ちげえ、てか、アレだ!前に一緒にここに来ようって言ってたから、それで」
「…覚えて…?」
花奈が泣き出しそうな顔してて、土方クンがまたそれを背に庇って。
…何かこれ夕べの再来ですか?
「…付き合ってんですかね?もう」
花奈に聞いたってどうせはぐらかされるだけだし、直接このヤローに聞けばいい。
「誰がだ?」
「オメエと花奈だよ」
「…そうなのか?」
首傾げて花奈を見ていて、花奈はそれに気まずそうに首を振る。
「だそうだ」
…って?アレ?まだ、恋人未満、とかそんなんですかね…?
「あの、ね、土方クンにはちゃんと」
花奈が話してくれたのは土方クンにゃぁ沖田クンの姉ちゃんっていうれっきとした彼女がいるとかで。
今留学中の遠恋の彼女に花奈から聞いたここの御守り送るつもりで一緒に来たとか…。
力抜けそうになる前に沖田クン、一発ぶん殴らせてくんねェかな?
知ってたわけでしょ?知ってて言ったよね?
『花奈、もう彼氏できたみてえでさァ』
あのサディスティック王子め、覚えてろよォォォ!!!
ハァァァとため息つけば土方クンが蔑んだように見下ろしやがって。
「…何?」
「ん?オレァ用事あっから先帰っていいか?花奈」
「え…でも」
チラリとオレを見てめちゃくちゃ嫌な顔をしたんですけどォォォ!!
「ケリつけるにもいいチャンスだろ?な」
ポンと花奈の肩叩いて土方クンは去って行ったけど、今の言い方ってアレだよね?
オレのこと相談してただろ、花奈!!
超かっこ悪ィんですけどオレ…。
ケリつけたい相手って…オレだよな。
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