君に届け!3[2/6]
女子との待ち合わせにロビーに揃って降りれば、…えーっと3人?!
「花奈はどうしたァ?」
高杉サンキュ!それそれ、オレは聞けないことだからね?!
「花奈は今日は別行動よ?言わなかったっけ?」
聞いてねえ!!!だから昨日何も言わなかったんだ、この話してた時!!!
「気になんのか?このクソ野郎」
「おうおう、朝からケンカ吹っかけてくるたァよろしくねえだろ、神楽チャンよォ?」
「…隣のクラスのイケメンマヨ王子とどっか出かけたネ、ついさっき」
「っ!!!」
“明日のことだけど”そういや、アイツ夕べそんなこと言ってた、うん、言ってた!!!
「悪ィ、オレ今日別行動で」
無駄だって、という皆の野次が背中を追いかけてくるけど。
悪あがきってえの?してみていいか?
一回でいい、後一回で。
お前に「誕生日おめでと」って笑って言われてえ。
来年とかその先とか望まねえから、今日だけで!!
近くの駅まで走って見れば反対のホームに二人並ぶ姿が見えて、慌てて逆のホームへと急いだけど。
一歩手前で出て行く電車に置いていかれて。
電車の行き先を調べた、行きそうな、アイツの行きそうな場所。
何かのサイト調べてた、そう恋愛成就のヤツで。
そんなとこ行ってどうすんの?もうオレら仲良しじゃん?って言ったら。
『これから、ず〜っと銀と仲良しでいたいから』
…そう言ってた…。
確か、えっと…。
「これだ!!清水寺!!」
この近くにある神社に恋愛成就の神社があって石がどうたらって…言ってたし!!!
「すいませーんっ!!」
その神社のある場所を人に聞いて見れば清水寺からすぐだという、間違いねえ!!
最寄の駅で降りて20分以上歩く、ってか走った。
アイツと恋愛成就だと?!ざけんなっ!!花奈と願掛けするなんざ、絶対ダメ!!許さねえから。
辿り着いた先の神社にゃ既に各地の女子高生やら、OLさんやらでごった返していて。
その中に、いた。
嬉しそうに二人で御守りなんか見てやがって。
それを眺めていれば妙に絵になっていて。
…怯んでしまう。
もう100パーセント間に合ってねえのかな?
…あのな、ソイツなら、お前泣くことねえの?
振り回されたりかき回されたり、悪い思い出なんか作ることもねえの?
今、幸せ?
やっぱオレ自分勝手か?
ここでお前とソイツ引き離して、好きだって戻ってきて欲しいって言ったら。
また、泣くんだろな…いい加減にして、って。
ぐるぐる回るのはマイナスなことばっかで。
身動き一つできないで、しばらく立ち尽くした後。
背を向けて…、また元来た道を歩きだした。
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