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「#幼馴染」のBL小説を読む
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My dearest[1/4]

かぶき町の真ん中交差点。

信号待ちで止まったオレが捉えたのは…。

…またかよ。

バックミラーで見た光景に眉間に皺を寄せ、咥えてた煙草を噛み潰す。

無意識に吐いていただろう舌打ちは総悟に聴こえていたようで。

ブイーンと助手席の窓が開く音。

そして。

「花奈さんと旦那じゃねえですかィ!二人仲良くこれからどっかにしけこむところですかィ?」

助手席の窓から身を乗り出して後ろから歩いてくる二人に手を振っている。

「おー、沖田くんっ、とトシじゃん、何してんの?」

万事屋と仲良く肩を組んで酔っ払ってご機嫌な花奈はオレに手を振っていた。

「見たらわかんだろ、見廻りだ」

助手席側から万事屋と二人で顔寄せ合ってこっちを見てる花奈から目を反らすのは。

その光景はオレにとっちゃあまりに屈辱的なものだからで。

「相変わらず無愛想だよねー、花奈の彼氏さん。もうちょいどうにかなんねえの?アレ」

酒を飲み気の大きくなった万事屋は調子に乗って大きな声でオレを指差して笑っていて。

「なるわけないじゃん!!きっと生まれた時からあの顔だもの」

「んなわけねえだろッ!!!」

絶対乗るまいと思ってたのに花奈の辛辣な言葉についつい言い返してしまってハッとする。

「っもう、トシったらヤキモチやいてんの?」

ニヤリと笑った花奈がいつの間にか総悟を引き摺り降ろして助手席に乗り込んでくる。

「今夜はねえ、プロジェクトが大成功した自分祝いなのっ!でも一人で飲むのもアレだしってことで銀ちゃん誘っただけ、だってトシは忙しいでしょ?」

「別にいつものことだ、妬いてるわけ」

花奈の方を向いてそう言いかけたオレの言葉は。

「嘘つき」

クスリと笑った花奈の唇が不意に重なって飲み込まされてしまう。

「ヒュー、やるねえ多串くん、お巡りさんが公衆の面前、しかもパトの中でェ?」

「おっぱじめるってんならァ、オレァここで見廻り降りやすが、どうしやす?」

「ッ!!っするわけねえだろがッ!!!ざけんなっ!!」

あまりの花奈の早業に焦りまくって威嚇するオレの頭をヨシヨシと撫でて花奈は助手席からまた降りていく。

「今度マヨいっぱい買ってあげるからお仕事頑張ってねーん、トシ」

語尾に音符マークすらつきそうな軽い口調で今度は万事屋の腕に絡まって。

「朝帰りはしないから心配しないで〜!じゃあね〜!!」

ブンブン楽しそうに手を振る花奈に習って万事屋まで同じように手を振って。

またかぶき町のネオン街の中に消えていく。

「行っちまいやしたねえ、あっちはホテル街もありやすが」

「…」

総悟の楽しそうな挑発は無視して車を進める。

あんなのは1度や2度じゃねえ、よくあることだ。

オレと同じで普段は仕事、仕事、仕事、そんでストレス溜まった、成功した、なんて時にゃこうして誰かしらと飲み歩いている。

ま、それが万事屋だったり仕事仲間だったりと男ばかりというのが、どうにも腹が立つけれど。

オレもそれに毎度付き合ってやれるほど暇じゃねえから黙認するしかねえんだけどな…。

時折、オレの非番の日すら忘れてこうして飲み歩いてる時もあるから、どうにもやりきれねえ、なんて。

付き合って半年、二人きりになったことなんざ数えるほどしかねえ。



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