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POKER FACE[2/3]

「ちゃんと飯食ってるのか?」

風呂上り家に置いてあるTシャツとスエットに着替えた晋助は会う度に私の腕首を握って。

「細すぎんだよ、お前は」

そう言って冷蔵庫の中を漁ってすぐに食べられるようなものを作り出す。

「オラ食え」

と私をテーブルに座らせるのはいつものこと。

時計の針はとっくに1時を過ぎてるというのに。

「お腹減ってないし、朝までに消化できないじゃん」

今夜のメニューは冷凍麺を使った野菜たっぷりあんかけスープうどん。

「うどんなら食えんだろ、それに二人分作っちまった。食え!」

有無を言わさぬ暴君口調だけれど、逆らうとだからお前は細いんだとクドクドと説教されるから。

うどんに手を延ばす。

食べ始めるとあまりにそれが美味しいから全部食べきれちゃうのはわかってるんだけどね。

「美味しい」

素直に言葉にすると晋助は当たり前だろとでも言わんばかりにフッと口元だけで笑ってる。

ドヤ顔さえキレイだなんてホンット罪作りだな、晋助は。

一年前、飲み友達だった銀時から紹介されたのが彼の幼馴染だという晋助だった。

最初はかっこいいだけの無口な男だとしか思ってなかったのだけれど。

気心を知るうちに仕事の相談とかに乗ってもらっていて。

時間があえばいつしか二人だけで飲みにいくこともあったりして、…で。

ある時久々に男の人に告白されてご機嫌に酔っ払ってた私を送り届けてくれた晋助は。

その夜、送り狼になったんだよね。

抵抗する気力すら失うほどのキスで慣らされて。

私の知らなかった晋助の繊細な指先と唇は容易に私を高みにと上り詰めさせられた。

呆気なく晋助に堕ちた瞬間だったけれど。

だけど晋助に惚れたのはそれだけじゃなくて。

次の朝、しっかりと私の分の朝食まで作ってそれから出かけるときに。

「また来るわ」

って私のOKすら聞かずに強引でたってられなくなりそうなほどのキスをしてから、満足そうに家を出て行った。

それから時折こういった関係は続いているけれど。

晋助の優しさとかそういうのはちゃんと伝わってきてる。

こうして私の痩せすぎ体質を気遣ってくれたりとか、時折アクセサリーなんか誕生日や何かの時にさり気なくくれたり。

晋助のこと知れば知るほどに好きになっていた。

だから不毛な関係でもいいかな、なんて思ってたんだ。

晋助がたまに私を思い出してここに来てくれるだけで。

…とっくに晋助に溺れてるんだよね、私。

悔しいけど…。



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