コトノハ1周年企画御礼リク[14/21]
坂田銀八、あたしの担任。
ヤル気なさげにどこか遠い目をして。
いつも気だるそうだ。
「銀八ィ〜」
「先生だろ、先生」
「…ああ、そうだった」
バコンと近くにあった出席簿で叩かれる。
「銀八せんせっ、あたしね昨日隣のクラスの子に告られたの」
「へえ」
…わぁ、無関心ですか。
「勿論断ったけどね」
「当たり前でしょ?」
何それ、全くもう!!
「気にならないの?」
「ならねェな、え?気にしてほしかったの?花奈ちゃん」
「べ、別にィ?気にして欲しいとかじゃないけどね?銀八はヤキモチとかそういうの妬かない派?」
「ほら、まァた先生抜けてる」
「誤魔化さないでっ!!」
大人ぶりやがって、いつもそうだ!!!
「いっつもあたしばっか」
月詠センセやさっちゃんにヤキモチ妬いて膨れて。
ああ、もう銀八に触らないでよォォォ、あたしのなんだからァ!!って。
何度叫びかけたか。
「イジけんなッ」
わしゃわしゃと撫でてくれる手に甘えるように擦り寄った。
「アレ?何か今日花奈ちゃん積極的じゃね?」
「…んなことないっ」
理科準備室、銀八の定位置である机の隣に椅子をくっつけて座るのは、あたしの放課後の日課。
教室ではただの生徒と先生。
だけど、放課後になると人目を盗んではその領域を超える。
ギュッと銀八の腕に手を回して絡みつくようにそれを抱きしめると。
「お前、ほんと可愛いなァ」
なんてキスをくれる。
「…ほんっとに思ってる?」
「ん?」
キスの途中で、そう言ってみれば。
閉じていた銀八の目が見開かれる。
「何で嘘言わなくちゃなんねェの?オレの可愛い花奈ちゃん」
クスクス笑いながら、あたしの頭の後ろに手を添えて。
更に深く大人のキス。
「こんなん見つかったら大変だな」
なんてとんでもないことを口走る。
「銀八、せんせ首になっちゃうでしょ」
「あー、そうなるかァ。でもアレだよ?お前に誘惑されたとか弁解してみよっかな」
「ちょ、誘惑、されたの、こっちじゃん!!」
セーラーのスカーフ、その結び目をシュルシュル解かれながらも、抵抗してみせると。
「バッ、人聞きの悪いこと言わないで下さーい!!オレはアレだよ?清廉潔白な先生だったんですよ?お前が現れるまでは」
「…」
「何その疑いの眼差しは、コノヤロー、ケンカ売ってるんですかァァァ!!!」
セーラーの裾から伸びてきた手がワシッと胸を握り締めるから。
ひゃっと腰が逃げるのを抱きとめられて。
「ああ、もう可愛いったら。っ、はっ、この反応、たまんねェ」
ペロリと首筋を這う舌の感触にビクンと固まるとクスクス笑う声。
…何だかここが大人と子供の境界線のような気がして悔しい。
余裕のある銀八といつも余裕のないあたし。
涙目でじとっと見上げる花奈にそっと口づける。
これでも大分色々と我慢してるんで。
キスぐらい好きにさせろ。
味わうように深く入っては、逃げるそれを追いかける。
余裕なんかねェわ。
隣のクラスの男って誰ですかね?
全員赤点にしてやるか、コノヤロー!!
「花奈」
「ん?」
トロンとした目でオレを見上げるから、どうにも我慢なんかできねえしね?
「信じろよ、オレを」
「…本当にあたしだけ?」
「自信ねェの?」
「あるわけなッ、やんっ…」
すっと脇腹をなぞるとビクンとまた敏感に身体を揺らす。
…この顔を見せるのはオレの前だけにしといてくれよな。
ギュッと抱きすくめたままで動かずにいると、花奈が首を傾げる。
「…銀八?」
「ん?」
「…その、…シナイの?」
「ん〜、今日はいいや。その代わり帰るまでこのまんまでいさせて?」
「…暑い〜」
「我侭言うな、暑いとか言ったら脱がすぞ、コノヤロー」
「えっち!!!」
バカ、んな可愛い台詞言われたらまた暴走しちゃうんで。
「だったら、黙って抱きしめられてなさーい」
その代わり卒業したら、色々しちゃうんで!!!
あかり様
銀時
お前、ほんと可愛いなァ
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