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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
コトノハ1周年企画御礼リク[4/21]

「やいっ!!」

やい?!

そう声を発した主が花奈であるだなんて俄かには信じがたかった。

だが、この真選組の男所帯の中で。

他に女の声を出す者などおらず。

一同は花奈をいぶかしげに見つめていると。

「やい!!土方コノヤロー」

目の据わった花奈が方膝を立てて、鬼の副長に向かってニヘラと笑ったのである。

シーンと静まり返る大広間。

酔っ払っていた近藤ですら、一気に酒が冷めていくのを感じた。

「やいっ、何とか言え、土方十四郎!!!」

走ってきた近藤が花奈の口を塞ごうとすると。

「離せ、ゴリラァァァ!!ゴリラ菌が移るだろォォォがァァァァ!!」

と近藤の顔面へとヘッドバンキング。

グフォォォォと鼻血を垂らしながら倒れていく近藤。

「どうしたんでィ、一体何が」

珍しく仲裁に入ろうとした沖田にも。

「黙れ、このクソ豚野郎!!!」

普段メス豚と呼ばれている腹いせなのか、沖田を背負い投げてしまう始末。

暴れないように多勢で押さえつけようとすると。

「セクハラじゃねえかァァァ!!!離せ、この痴漢どもっ!!!」

そんな風に言われては手も足も出せずで。

「やい、花奈。テメエが腹たってんのがオレだってんなら話し合おうじゃねえか、コノヤロー」

「おう、上等だ、このマヨヤロー!!」

マヨヤローにヒクッと頬を引きつらせながら、花奈の襟首を持ち上げて引き摺るように歩き出す。

「離せ、一人で歩けるやいっ!!!」

2人の背中を見送る隊士らはため息をつく。

酒、飲むなとあれほど言ったのに。





普段は大人しい女隊士である花奈は。

監察兼、局長や副長の補佐のような(つまりは書類片付け係り)をしていて。

実に気の利く控えめな女であるのだが。

酒に弱く、毎度飲む度に飲まれてしまい悪態をつく始末。

前回は局長を正座させてそれに重石を載せ、ストーカー行為とはという講義を朝までしていたというのだから。

大虎である。

「で、テメエは何でオレに腹立ててるってんだ?」

「…身に覚えがねえですかい?ええっ?」

ズイッと顔を寄せてくる花奈に土方はデコピンを食らわせる。

アダダダダと蹲った花奈の頭をそっと撫でた。

「…ズルイですよ、土方さんは」

少し正気に返ってきたのか先ほどよりの暴言ではなく、いつもの花奈の話し方に変わって来ている。

「何がだよ」

「全部です、全部っ、その顔も頭も匂いも全部全部全部」

「ハァ?!」

「だから、もう私側にいたくないんれすよ、あなたの側に。」

れす、…あ、やっぱまだ酔ってるのか。

「…補佐を辞めてえってのか?」

「そうれす!!!!側にいなきゃ、きっと優しくしてくれることもないれしょ?どれだけ罪だか知ってます?土方さんの優しさは毒みたいなもんれすよ、ええ!!その毒に侵されて私はもう、もう、もう」

ウワァァァァンと泣き出した花奈に土方は首を傾げながら、その背中を撫でてやるしかできないってのに。

「触らないで優しくしないでっ、ほっといてェェェ!!」

とまた泣き出す始末。

「ニコチン野郎だし、マヨ野郎だし、眼孔開きっぱなしだし」

「…上等だ、コラッ」

「なのに、かっこいいとか優しいとかギャップありすぎて、悔しいっ!!趣味じゃないのに、全然趣味じゃないのにィィィ」

ガバッと顔を上げた花奈が土方の頬を両手で挟んで。

「…好きすぎて苦しいのれす」

チュッと押し付けられた唇。

そして、そのまま土方の腕の中に持たれる様に眠り始めてしまう花奈に。

「…嘘だろ、オイ」

顔を赤くしながら、花奈を抱きかかえて歩き出す。

「…だから、最近のオメエはオレに頼ろうとせずに」

離れて仕事して何でも自分で片付けて。

その態度にこっちがどれだけヤキモキしてたか、知らねえのはお前だけだし!!

趣味じゃねえとか散々言いやがって、クソ。

オレだってオメエのことなんざ趣味なんかじゃねえよ、けどな。

呆れるほどに無防備な寝顔に浮かぶ涙をふき取って、花奈の部屋へと運び入れた。

「もっと頼れよ…、つぅか人の返事も聞きもしないで寝やがって」

ピンと弾いた鼻を花奈はゴシゴシと擦っている。

「…好きだ」

そう呟くと、ふにゃりと眠ったままで笑顔を浮かべた花奈に。

仕返しのキスを送る。








つばさ様御題
土方
もっと頼れよ


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