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コトノハ1周年企画御礼リク[3/21]

「高杉〜!!」

探さなくてもヤツの居場所ぐらいわかる。

ほら、やっぱり屋上の隅で、日陰を見つけて寝ていたりして。

日陰ばっか選ぶから青いんだよ、顔色悪いんだよ。

だけど、やっぱキレイな寝顔。

男だってのに睫が長くて。

「…、何だ?」

ギロリと突然開いた隻眼に驚いて後ずさる。

「人のこと捜しに来といて何で驚いてやがる」

上半身だけ起こしてコキコキと首を鳴らして、尚も鋭い視線を向けてくるから。

そら、ビビるってぇの!!

「っ、あ、そうそう、銀八からのお使い。高杉だけなんだって、まだ課題出してないの」

「知るか、んなもんッ」

「いやいやいや、知るかって。先週貰ったじゃん、プリント!」

「ねェ、どっかに行っちまった」

「…やっぱりか」

そうだと思ったんだ、だから銀八も先手を打っていて。

「はい、コレ。銀八が今日中にやって持って来いって」

高杉が無いと言ったら渡すように言われた予備のプリントを差し出すと。

受け取った瞬間に器用に飛行機を折り出す。

「って、待てェい!!」

飛ばした瞬間ダイビングキャッチ。

「猫か、テメエは」

ヘラッと笑う高杉に広げたプリントを突き出して。

「お願い、やって。今すぐやって、私ペン持ってるし。これ持ってかないと私が怒られるんだからさァ」

高杉の前に座り込んで床にプリントを広げ持ってきたペンを差し出すと。

盛大なため息が目の前から聞こえてきて顔を上げた。

「ッ、テメエは銀八の犬かよッ」

「違うっ、学級委員だから」

「ただの学級委員にしちゃァ、銀八の言うこと逐一聞いていい子ぶってんじゃねェか?あん?お前アイツに惚れてんの?」

いきなり伸びてきた指先が私の顎に添えられて上を向かされる。

紫がかった瞳に写る自分の顔があまりにも滑稽に。

てか、近いっ、距離近いっ!!!

慌ててその手から逃れて、頼むから、とまたプリントを差し出せば。

「だからよォ、オメエの成績にゃ関係ねェじゃねえか、オレが課題提出しようがしまいが。お前がヤツに言えねえってならオレが言ってくらァ、面倒クセェ」

ユラリと立ち上がった高杉の手を咄嗟に握ってしまうのは。

「…だって、さ。高杉あんま授業に出ないじゃん」

「だから?」

「あのね、こういうの提出しとけばちゃんと評価もされるんだって。だから、銀八だって高杉のこと心配してたし。やっぱ一緒に卒業したいしさ」

「…オメエも?」

「へ?」

「…いや、…出せば卒業させてやるってか、ウゼェ」

舌打しながらもようやく座ってペンを取り、スラスラと問題を解きだす高杉は。

やっぱ天才肌の人間なんだなって思った。

授業なんか聞いてなくてもきっと解けちゃうんだろうな。

高杉って…変な人。

「オイ、何ニヤニヤしてやがる」

「っ、いえ、何でもないです、はい」

えへへと笑って誤魔化すと高杉は眉間に皺を寄せて。

「なァ、お前何て名前だっけ」

…嘘でしょ、3年間同じクラスで、多分女子で一番口利いた事あるの私だったはずだよ。

まァ、話と言ったってこんな感じの用事ばかりだったけど、こりゃ少し。

てか、大分ショックだわ。

「…ありがと、コレ持ってくね」

いつの間にか全部埋まっているプリントと高杉の手の中にある自分のペンを回収しようとすると。

「花奈…、下の名前しか知らねえし」

ペンを取ろうとした手をグイッと掴まれてまた覗き込んでくる瞳が。

怖いような切ないような。

じっと見ていられずに視線を彷徨わせる。

…知ってるんじゃん、下の名前…知っててくれたんだ。

何かそれだけでもう嬉しいから、このまま逃げ去りたいくらい嬉しいのに。

「っ、離してよ」

ああ、私のツンデレったらもう。

「なァ、本当にオメエ、銀八のじゃねェの?」

「っな、わけ!!!」

抗議しようと高杉を睨んだ瞬間に。

何かが唇を掠めていく。

「っ、高杉ッ…」

嘘でしょ!!だって、今のって、これって、絶対ッ!!

慌てて口元を隠すと。

クックックと笑った高杉が。

「だったら、オレと付き合わねえ?」

「へ?!」

何言ってるの?!

「…割と気に入ってる、昔から」

…思考回路停止、ちょっと待って!!

目を丸くして高杉を見たら、ちょっと睨まれたけど。

「チッ、仕方ねぇ。返事は一時間だけ待ってやる」

シニカルに笑ったその顔も好きでした、なんて。

言えるわけない。

…もう、ちょっと心臓落ち着くまで待ってクダサイ!!!







月猫様御題
高杉
チッ、仕方ねぇ。返事は一時間だけ待ってやる


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