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コトノハ10万打企画御礼リク[13/14]

土方さんが言っていた。

『近藤さんに見合いの話が上がっている』

それを受け結婚すれば真選組は安泰だということ。

誰にとっても、勿論近藤さんにとっての未来も全て輝かしいもので。

『だから…』

言いづらそうだった土方さんに微笑んだ。

『わかってます』って。

嫌われるように仕向けてきたはずだった。

あなたの笑顔が段々と消えていくのがわかった。

デートのたびに我侭ばかり言うのは、序の口で。

昨日なんかはとうとう待ち合わせの場所にすら出向かなかったのである。

そしたら今朝ひょっこりと私の家まで来て、言った言葉。

「デートって今日だったっけ?オレ、昨日と間違ってたみたいで」

ガハハと笑う近藤さんに顔を歪めた。

「…昨日で合ってますよ、近藤さん。私が面倒で行かなかっただけです」

その瞬間、近藤さんの目が悲しげに揺れるのを見たけれど。

「…本当にごめんなさい、近藤さん。私ね」

直接的にお別れを言うのが怖くて、こうして嫌われて振られてしまうように、と振舞ってきたけれど。

限界だった。

お別れをする日が先になればなるほど、私自身が辛いのだ。

「好きな人が出来たんです、だから」

「…本当に?」

消えてしまった笑顔、きっと怒りたいだろう衝動を抑えてか彼はただ慈愛に満ちたような目で私を見下ろして。

「本当です、こんなので嘘なんかついてどうなるって言うんです?私には今好きな人がいる、それはもうあなたじゃない、だから」

「とっくにトシから聞いてるよ、君に見合いの話をしたって。それきり態度がおかしくて…帰り際、背中向けて泣いてばかりだったじゃない」

ハッと顔を見上げた先で近藤さんが優しく微笑むのがわかった。

もう二度と私に向けられるはずもない愛しい微笑み、そして。

優しく伸びてきた指が頬に触れた瞬間、久しく触れ合ってなかったその温度の愛しさに。

この人の前で隠していたはずの涙が零れ落ちる。

「見合いなんかしやしないよ、君以外の誰とも所帯なんか持ちたくないし」

「っ、受ければ真選組は」

「そんなんで安泰だなんて一時だけ、君を失ってまでそんなもの手に入れたくない」

瞬間掻き抱かれた胸の中で。

「君と一緒になれるなら死んでもいい」

聞こえてきた言葉の意味がわからなくて顔を上げると。

「結婚してくれないか」

いつの間にか用意されていた私の左の薬指にピッタリの指輪。

「っ…一緒になんか…」

「ん?」

「死んでもいいとかいうなら一緒になんかなれないっ、ずっと生きて一緒に一生っ、ううっ」

大声で泣き出した私を大きな身体が包み込むように抱きしめてくれる。 

それは言葉のあやだから、と苦笑し私を抱きしめる優しい腕の中で。

ああ、この人以外の誰を好きになどなれようか、と。

きっと、一生。






小唄様御題
近藤
一緒になれるなら死んでもいい





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