コトノハ10万打企画御礼リク[11/14]
「退くん、あのね」
ああ、何て可愛いんだろ?
少し上目遣いでオレを見るのは、身長がオレより20センチも小さいからだってのはわかってるけど。
見上げながらニコッと笑って小首を傾げるのなんて。
反則技だと思うよ?
オレがその顔にどれだけヤラレてるか知らないでしょ?
「ねえ聞いてる?」
ちょっと唇尖らせるのなんて、ただ可愛いだけだからね?
怖くも何ともなくって、その尖った唇をパクンとしたくなるだけだから!
「転勤ヤダなぁ…」
ハァっとため息とか、だって可愛い…、って。
…あれ?今彼女何か変なこと言わなかったかな?
「…えっと…もう一回言ってくんない?」
「もう、やっぱり聞いてなかったの?転勤になりそうだから、ヤダなって言ったの」
「ちょ、転勤ってどこに?!」
「本社が京にあるって前に言ったでしょ、そこに」
「ど、どうして君が?!」
まだ付き合って3ヶ月で遠距離恋愛?!
そんなのってないよ、デートだって、お泊りだってまだ数えるほどしかしてないってのにィィィ!!!
「今回のプロジェクトは女性だけで結成するんだって。で、本社に何人か欲しいって。けどそれって独身に限られてて…、だから私も候補に挙げられてるわけなの」
「断ることってできないの?」
「…断れるかもしれないけど、断るとその先気まずいかも」
「だ、だったら!!!」
「ん?」
「オレと結婚、とか…」
するとクスクスと笑い出すから、ちょっとムッとする。
「いきなりすぎだよ、退くん」
「いきなりかもしれないけど、行かせたくないから」
「…行かせたくないって理由でプロポーズされるのも…何だかちょっと…」
困ったような顔で俯いてしまった。
言われれば確かにそうかも、だけど。
「オレ、離れたくなんかないし、それに…夢見てたんだ。」
「え?」
「いつか絶対君の事お嫁さんにしたいって。…ちょっと予定より早いかもだけど、この機会に言わせてもらうよ」
「…退くん…」
「ずっと側にいて欲しいんだ、だから…。オレと結婚して下さい!!!」
差し伸べた手を握った君は微笑んで。
「…取りあえず上司に報告していい?」
「え?」
「…婚約者がいるので転勤候補から外して欲しい、って…」
電話をかけようとする彼女の手を掴んで首を傾げる。
「…返事は?」
うっと真っ赤になる彼女に、微笑みながらキスをした。
闇猫様御題
山崎
夢見てたんだ。
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