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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
コトノハ10万打企画御礼リク[9/14]

「銀ちゃん、おはよー」

その背中に話しかければ、いつもならきっとヘラッと笑いながら振り返って、「おはよ」が返ってくるのに。

何故か声をかけた瞬間にピクンと背中を伸ばして、逃げるような早歩き。

「ちょ、ちょっと、銀ちゃん?!」

慌てて追いかけると、とうとう走り出す。

何で?!何で、何で?!

私も走って追いかけながら。

「銀ちゃんってば、待って!!お願いっ、待ってー!!」

最後は泣き声だった、もう苦しくて走れなくて。

そしたら銀ちゃんは私の方を振り向かずに。

「俺、甘いもん嫌いになった」

は?

突然、何の告白?

「だから、もうお前と一緒に甘いもん食いにいけねえ」

そう、銀ちゃんと私は甘いもの大好きで、美味しいって評判の店を聞いては2人で食べに行き。

…まるで、デートみたいで。

はっきり言われたわけじゃないけど、もしかしたら、って…期待してたのは私1人、だったみたい。

「…そっかぁ、いいよ、いいよ。誰か他の人と食べに行って?ハッキリ言ってくれたらいいのに、私と行くのがもうイヤだって」

今までありがと、と背中を向けると。

「そ、そうじゃねえっ!!!」

お腹に回るのは銀ちゃんの白い着物の袖。

後ろから抱きしめられて引き止められていて。

「…笑うな、よ?」

その言葉の意味がわからないけれど、私はドキドキがどんどん大きくなって。

「こっち、向け…」

銀ちゃんの掠れたような声がキュンと突き刺さり、そっと振り向いた先に。

…アレ?

「銀ちゃん?」

「笑うな、って言ってんだろッ!!!」

「うん、わかった、わかったからね、取りあえず歯医者行こうか」

頬っぺたをパンパンに腫れあがらせた銀ちゃんの手を引き歩き出す。

「ゲッ!!!」

「ゲ!じゃない、全くもう。甘いものじゃなくって私が嫌われたのかと」

「嫌うわけねえだろッ!!!」

繋いだ手に一瞬込められた力に嬉しくなる。

「…歯、治したら…。また、銀さんと甘いもん…食ってくれよな?」

その優しい声に見上げたら、また頬っぺたパンパンの顔を見てしまって。

笑った瞬間に、銀ちゃんは更に頬を膨らませて口を尖らせていた。








來々様御題
銀時
俺、甘いもん嫌いになった





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