コトノハ10万打企画御礼リク[7/14]
重い、重い、重い。
銀八のヤロー、覚えてろォォォ!!
女子にこんな重たい資料運ばせるなんて、どういう了見だ!!
憤慨だ、憤慨!!
でも、取引に乗ってしまった私が悪い。
職員室まで落とさずに運んだら、赤点補修見逃してやる、なんて。
そんな美味しい餌をぶら下げられたら、やらずにはいられなかった、けれど。
1階にある職員室まではまだまだで、それなのに私の腕は限界を超えてプルプルとしてきていて。
…落としちゃう、かも、としゃがみ込んだ瞬間に。
「…貸せ」
そんな言葉が聞こえて見上げると高杉くんが私を見下ろしていた。
他に誰かいただろうか、と周りを見回す。
「それ持ってやるよ」
エエエエ?やっぱり今の言葉高杉くんだったのォォォ?!
驚く私の手から資料を全部奪うようにして歩き出した高杉くんを慌てて追いかける。
「い、いや、あのね、これ運んだら」
「知ってる、お前の補修が無くなんだろ?」
「そう、だからっ」
「誰かに手伝ってもらうのはダメとか言われたか?」
「あっ…」
「職員室の入り口まで、だ。後はお前が届けろ」
「はいっ」
初めて話した、こんな声だったんだ。
カッコイイけど謎めいてたから…だから、こんな急接近できるなんて嬉しくて。
「ありがとう、高杉くん」
入り口まで来てこれでオシマイかと思うと寂しくなる、けれど。
「あ、あのっ」
去っていく背中に声をかけた。
「ア?」
面倒臭そうに振り返った高杉くんに。
「っと、放課後、御礼に何か奢らせて、くだ…さい」
眼光の鋭さに最後は尻切れトンボだったけれど、言えた、言い切った!!
「…じゃあ、放課後、な」
最後に高杉くんの放った言葉の意味を理解したのは。
とうに高杉くんが去ってしまった後で。
「やったーーーーーーー!!!!」
万歳をしてしまった瞬間に資料を飛び散らせて、銀八から拳骨が飛んできたのは高杉くんには絶対内緒だ。
ゆみ様御題
高杉
それ持ってやるよ」
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