コトノハ10万打企画御礼リク[6/14]
例えば土方さんの顔色を見て。
今日は寝不足なのかな?
少し隈があって疲れていそう、とか。
何だか良いことがあったのかな、顔がスッキリしてらっしゃる。
そんな風に思うのは可笑しいことなのだろうか?
「ア?」
お茶を出すタイミングを見計らう私の視線を感じたのか土方さんは書類から顔を上げて私を見る。
うっ、今日は機嫌悪そう。
多分近藤さんか沖田さんが何かやらかしたんだ、きっとそうだ。
「い、いえ、何でもありません」
「言えよ」
「え?」
「お前はいつも人の顔色ばっか見てやがって、言いてえことの一つも言ってこねえじゃねえか、んなんじゃ何も伝わらねえ。わかんねえんだが」
その冷たい声色にギュッと身を竦めると。
「…んなに、オレが怖えか?」
覗き込まれて視線は彷徨う。
怖いんじゃない、そうじゃなくて…。
そんなに端正な顔がすぐそこにあるのって、相当心臓に悪い。
「きょ、今日は、あまりお顔の色がすぐれないような」
どうぞ、とお茶を出しながら言葉早にそう言いきってペコリと頭を下げて立ち上がろうとしたのに。
…この腕を掴む手は、何ですか?
「…あー、っ…考えすぎだ、お前の…。悪ィな、こんな仏頂面でよ、でもお前が思ってるほどオレァんなにモノを考えてるわけでもねえし、しいて言えば」
「言えば…?」
「あんま見られてっと、緊張すんだろ」
「えっ?」
「…深い意味はねえかもしんねえが、あんま見るな」
「…はい」
どうしよう、泣きそう。
私に見られていることが、迷惑だったんだ。
「そうじゃねえ」
不意に私の目尻に触れて、拭われたのは落ちる寸前の涙。
「…お前に見られると、緊張するってのは…」
目の前が真っ暗なのは土方さんの隊服だからで。
その染み付いた煙草の匂いがこんなに近いのは、その…。
「…好きだ」
私も、です。
つばさ様御題
土方
考えすぎだ
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