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愛を込めて花束を♪[4/11]

やっとこの日が来た。
階段上がる音に……チャイム音。

「銀ちゃん!」
「ハイハイ花奈?銀さんに会いたくて堪りませんでしたって顔してんな。抱かれにでも来たか?」
「ち、違いますー!銀ちゃんにお誕生日おめでとうって言ってもらいに来たんですぅー!」
「…………あ、そ。ツマンネ。」

言い捨ててやったら途端にシュンとしやがった。……やっぱ苛め甲斐あんのな、花奈。



「銀ちゃん何してるネ。キモいアル。」
「そうですよ。さっきからニヤニヤしてると思ってたら、やっぱり花奈さんでしたか。」
「ツンデレにも程があんだヨ。花奈苛めて何が楽しいアルか、誕生日くらい優しくできないアルか、そんなだからいつまで経っても万事屋に仕事が来ないネ、銀ちゃんのせいヨ。」
「うるせーな。んなこと言うなら気ィ利かせて2人きりにしろよ。」



ギャーギャー騒ぎ立てるガキ共追い出して……いや、一応新八にゃ言っとくか。

「いちご牛乳とプリンとシュークリームと……」
「自分でコンビニ行ってください。」
「あと適当に…………。」
「え?」

こっそり耳打ちしてやりゃあ意外だとでも言うように……でもま、結局頷いて出ていった。
花奈を振り返ると、ちんまりとソファーに落ち着いている。さてと……どうしたもんかね、この可愛い娘。

「花奈。」
「何?」
「花奈ちゃ〜ん♪」
「ふふふ……何、銀ちゃん?」
「別に。なぁ、お前誕生日っつってやりたいことあんの?」

そっと髪を撫でりゃあ、頬がほんのりと紅く色づく。

……堪んねぇ。





けど、まだだ。


「えっとね、銀ちゃんとパフェ食べに行きたい。」
「あ?こないだ俺の誕生日に行かなかったっけ。」
「うん、行った。今日は違うの食べるの。」

ほらな?誕プレそれでいいって言うんだよ。指輪とか簪じゃなくて……パフェ。

何ですかソレ。可愛すぎ。





近くの甘味処まで手ェ繋いで……たまには恋人繋ぎで歩いてやっか。そんでまた嬉しそうに笑うんだろ、花奈?




「ハイ銀ちゃん、あーん。」
「あーん……ウマイねコレ。」
「でしょ?私のお気に入り♪」
「花奈、あーん。」
「あーん……。」

…………俺としちゃパフェと一緒に花奈も「お持ち帰り」して「美味しくいただき」たいんだけどね。



バカップル?上等じゃねェか。俺達ゃ世界一幸せな恋人だよ。

誕生日を彼女に祝ってもらって、10日後にゃその彼女の誕生日祝ってやって……パフェ食って花奈のだらしねェくらいに幸せそうな顔見て……甘味処の端っこの席でイチャイチャしてよォ…………幸せと呼ばずして何と言うよ。
これだから毎年10月が待ち遠しくて仕方ねェ。


けどまぁ、そろそろ潮時か。

「花奈、帰んぞ。」
「えー……ヤダ。」

おいおい、そんな顔してヤダって……銀さんを困らせる天才だろ、このカワイコちゃん。

「んじゃ銀さん先に帰りますぅー。」
「え、やだやだ、待って銀ちゃん!」

ガキか、忠犬か、愛らしい小動物ですかコノヤロー。





万事屋に帰ってみりゃ手筈通り……ご丁寧にまぁ、カードまで添えて

「わぁ、見て銀ちゃん!フラワーボックス!」
「……気に入ったか?」
「うん!」

ハートの箱に詰め込まれた色とりどりの花。
適当にとは言ったが、新八コレ…………いくらすんだよ。



とかなんとか思ってりゃ、花奈が後ろから抱きついてきやがった。
あぁ、照れてんだな花奈チャン?

「銀ちゃん……アリガト。」
「あぁ。」

箱一杯の花……こんなモンで笑ってくれんなら、お前のそのカオ見れんなら……安く思えてきちまう。

「花奈。」
「うん、なに?」
「おめっとさん。」



2人きりの万事屋、夜が明けるまでコイツと「戯レテ」やれたのは……





誕生日っつー口実のお陰だったりして……な?






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