To be happy[4/6]
「昨日ゴリラの死体が歩いてたネ」
神楽ちゃんが店のカウンターに頬杖ついてアイスを頬張っていた。
「…それ、生きてるよね?近藤さんでしょ?」
苦笑しながら手は休めずに料理を作る。
「何だか可哀想だったヨ、弱ってたアル。もうゴリラじゃないね、ただのサルね」
言いすぎだろう、と作っていた煮物をタッパーに詰めて神楽に手渡す。
「はい、これ、ちゃんと3人で食べるのよ?」
少し多目に作ったおかずはいつも遊びにくる神楽ちゃんに持たせる。
「いつもありがとうネ、で、どうするアル?」
「もう、神楽ちゃんったらまだその話?!どうもしないよ、終わったこと」
「私はそれでいいアル、ゴリラよかいい男がたくさんいるし、ゴリラに花奈は勿体無かったアル!けど、花奈は本当にそれでいいアルか?」
「ん?」
「花奈、最近いつも泣きそうな顔してるネ。銀ちゃんも新八も心配してたヨ」
「…ありがと、でも、ホラきっと平気」
笑ってみせたはず、だった。
だけど、神楽ちゃんの顔が歪んでみえた。
グニャリと歪んで景色も歪んでいく…。
…寝不足続きだったから…。
花奈!!しっかりするネ!!!
神楽ちゃんの声が遠くに聞こえた。
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