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To be happy[3/6]

「どうしたの?」

いつまでも寝付けない様子で何も言い出せない彼に痺れを切らして、部屋の明かりをつけた。

「何でもないよ」

極めて明るく装う彼の口元が笑ってない。

「近藤さん、話してみて?」

ね?と何度も促してようやくその重い口を開いてくれた。

「…高官の娘と、見合いの話しが上がってるんだ」

「そう、なの」

「勿論、断るつもりでいるんだよ。だから花奈は気にしないで欲しい、ただ、どう断っていいものかそれを悩んじゃってさ」

ガハハと頭を掻いて誤魔化しているけれど。

「…もう、ママゴトはお終いにしましょう?」

そう言って正座をし彼の目の前に座り、彼の目を見据える。

「花奈?」

言っている意味がわからないようで首を傾げて私の目を覗きこんでる。

「近藤さん、あなたは真撰組の局長ですよね?」

「ああ」

「だったらその見合いがどんな意味をもたらすのか、わかってると思います」

「…」

「私1人を選ぶのか、たくさんの隊士たちを選ぶのか、今すぐどちらかにお決め下さい」

「花奈…、何でいきなりそんなっ」

「いきなりじゃないですよ?もしも、そうなったら、こうしようってずっと考えてたことです」

あなたという立派な人を好きになってから、ずっと。

情けない顔で眉を下げている近藤さんに微笑んだ。

「もう、ここへは来ないで下さいね」

「花奈…」

「しっかりしなくちゃ!あなたはっ」

言いかけた言葉は唇で塞がれる。

息をもつかせぬような荒々しい口付けは、付き合って始めて。

いつも労わるような抱き方をする人が、こんな風に求めてくることなんてなかったから…。

黙ってそれを受け入れる。

抱きしめて、彼のしたいように。

最後に、とそう思ってるなら尚のこと。

「好きだ…、大好きだ…」

汗なのか涙なのか。

彼の頬を伝うものに手を伸ばして。

「私も、よ」

そう微笑んだ。

明け方近く、私がまどろんだ頃に。

襖の閉まる音で目が覚めた。

…っ、もういない。

彼はもう二度とここには来ないっ…。

胸が苦しくて張り裂けそうで。

今追いかけていったら彼は朝日の中で私を抱きしめてくれるんじゃないかってそう思ったけれど。

布団に包まってじっと涙を堪える…。

いいの、だって、やっとあなた決意したんでしょう?

どうぞ、祈ってます。

真撰組局長近藤勲様。

あなたの御出世と、真撰組の将来を。


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