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辰馬幼馴染
「花奈〜」
「やだ、ついて来ないで」
はっきり言って迷惑なの。
だっていつもいつも辰馬のせいで、どんだけ私嫌な目に合ってるか知らないの?
「花奈?」
「私昨日イジメられたんですよ」
ため息をついて辰馬を見上げれば、キョトンとして私を見下ろす。
何、そのポカン顔。
めっちゃ腹立つんだけど!!
「なしてなが」
「…あんた、何で坂本君の彼女でもないのにいつも隣にいんのよ、って」
見なさいよ、髪の毛引っ張られて、ちょっとココ禿げたんだけど。
と頭頂部を見せると。
よしよしとそこを撫でられる。
いや、違くて!!!
「わしが側におるやき、花奈が何故イジメられるちゆうんじゃ?」
「あああ、知らないって罪。あんた割りと人気あるの。そのせいで幼馴染とかいうポジにある私は目障りこの上ない女らしいわ」
「わしがかえ?」
ああ、ホント、バカって罪。
その長い足や見上げるほど高い身長。
青い瞳や大きな手、大きな口。
そのもじゃもじゃさえチャームポイントらしいのね。
ま、自分の魅力に気付かないからこそ天然でそれを自然にさらけ出していて。
そこが尚のこと人気あるらしいからな。
何か考えていたらしい辰馬が、ポンと手を打って名案を思いついたとばかりに笑って。
「じゃったら幼馴染らぁて止めてしまえばいい」
…あ、そういうこと。
「…あんたが、それでいいなら」
まさか、いきなりの距離置こう宣言にいささかビビる、というか。
少し寂しい気もする…けどさ。
「じゃ、先行くね」
通り過ぎようとした私に。
「待っとおせ」
グイと手を引かれて無理やり立ち止まらせれた。
「恋人で手を打とうやか!」
爽やかに笑った瞬間に私の肩を抱き歩き始める。
…何、それ?
バカなの、やっぱ?
「わしゃ離れる気はないき、じゃったらこうするしかぇいろう?」
ニカッと笑った口がそのままパクリと私の口を飲み込んだ。
勝手に幼馴染から恋人に昇格させられた日
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