To be happy[2/6]
しがない小料理屋を経営している。
席はカウンターに5つだけの小さな店だ。
毎夜飲みにやってきては、逆に私の悩みを聞いていく。
それって女将としてどうなのよ?って悩んだけれど。
その内、彼のその大きな懐に惹かれていく自分に気付いた。
だから、彼が1人の時に暖簾を下ろして…。
「あなたが、好きです」
そう伝えた、振られるのなんて覚悟の上で。
だから。
「オレの方がずっと先に好きでしたよ」
照れながら笑う彼にそう言われて驚いた…。
だって、私、彼の全てに惚れこんでたんだもの。
その大きな手や指や、少し大きな声で笑うところも。
一度だけそっと触れさせてもらった髪がツンツンとしてたるのも可愛かったり。
私よりもとっても背が高くて頼りがいがありそうで。
そして一番好きなのは。
心だ。
キレイな人だなぁってそう思った。
優しくて温かで純粋で、きっと振り込め詐欺とかネット詐欺とかすぐに引っかかりそうな人を疑わない心。(実際被害に何度もあってるらしいと聞いて、やっぱりと苦笑したけれど)
こんな人に愛されたらきっと幸せだろうなってそう思ってたから本当に嬉しくて…。
それからは夜は彼がこちらに通ってきたり、昼間は屯所におかずを届けたりと。
幸せでした、とっても、この3ヶ月間。
求めたとおりの、思ったとおりの暖かさで包まれているようで。
私のことを第一に考えて、寂しくならないようにといつもいつも気にかけてくれて…。
側にずっと置いてくれたから…。
だから彼が苦悩していることにだってすぐに気付けた…。
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