To be happy[1/6]
「姐さん、久し振りじゃねえですかィ!最近どうしてんでィ?屯所に顔も出さねえで」
「沖田さん、お久し振り」
ふふふと笑って誤魔化して、去ってしまうつもりだったのに。
ムンズと襟首捕まれて躓きそうになる。
「沖田さんンンンンン?!」
「最近、近藤さんがおかしいんでさァ、何か心辺りありやせんですか?」
「…さぁ?あ、私今買い物帰りなんです、早いとこ帰って仕込みしなきゃ店開けるの遅くなっちゃうから」
「今日くらい休んだらどうです?屯所でレッツパーリィしようじゃねぇですかィ」
ゾッとするようなたくらみのある赤い目にフルフルと首を振る。
隠しても仕方ない、正直に話そうか。
「近藤さんと別れたんですよ、聞いてません?」
「いいや、振られたとしか聞いてやせん」
…同じだ、むしろ振られた側なんだけど。
「お見合いはどうされたんです?」
「したみてえですよ、んで向こうは乗り気らしいんですがね」
「じゃぁ」
「近藤さんはゴリラの屍みてえになってやす、あんたと別れてから」
…そう、言われても…。
「私には、もう関係のないこと、です」
「…捨てた男にはもう興味はねぇってことですかィ?」
「あの人にはあの人の人生があるでしょう、私がそれに乗れなかっただけなの。きっとこうなったことも、1年後にはこれで良かったって笑えるはずよ」
そう、これで良かったの。
「…今夜、婚約発表するそうでさァ、あんただったら止められるってそう思うんですがね?」
言い捨てるように沖田くんは背中を向けて歩いていく。
誕生日に合わせて婚約発表、か…。
どうぞ、幸せになって。
大好きな人…。
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