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「#幼馴染」のBL小説を読む
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日付が変わるその前に[4/4]

「…花奈…?」

立ちすくんでいる花奈が驚いた顔でオレを見上げている。

「何で?」

寝ていたんじゃ…?

「お腹空いてませんか?もしよろしければ」

差し出されたのはお握りが二つ、お新香、それに湯気の出ている淹れたての熱いお茶。

「…待っててくれたのか?」

「はい、さっき沖田さんにも会いまして同じものをお渡ししてきました」

どうぞ、と手渡された盆を受け取って、そのまま花奈と向かい合う。

「あ、お風呂かどこかに行かれるんですよね?それでは、おやすみなさいっ」

足早に立ち去ろうとする花奈を。

「待て」

と引き止めた。

振り返った花奈に、どう言葉をかけていいか迷ったけれど。

「お前の分の茶、淹れてこいよ」

「え?」

「…話がある、だから、それ淹れたらもう一度ここに来い」

「…はい」

首を傾げながら食堂に向かって自分の茶を淹れに行く花奈が、すぐに戻ってきて。

何となく距離を開けて向かい合って座る。

「…うめェ」

花奈の作ってくれた握り飯を頬張ると嬉しそうに花奈が微笑んでいて。

…いや、そうじゃねえだろ、オレ!!!

チラリと時計を見ると、もう後5分で日付が変わるところ。

「あー…、…遅くなってすまねえ」

ゴソッとポケットから出した箱を花奈に手渡す。

「…いいんですか?」

不安そうな花奈が箱をただ温めるように持っているから。

「とっとと開けろよ、日付変わっちまうから」

そう促すと慌ててそれを開け出して、そして。

「…観覧車…」

花奈の掌に小さな観覧車の飾りのついたペンダント。

「嬉しい、ですっ」

真っ赤になって、泣きそうになっている花奈の手から取り上げて。

後ろに回り、それをかけてやった。

「…誕生日、祝ってやれねえで…悪かった」

「覚えてて下さっただけで嬉しいですよ」

振り返った花奈が泣き顔なのに笑顔で、嬉しそうにそのペンダントをオレに見せる。

「似合いますか?」

「…あぁ」

オレたちにしかわかんねえだろ、その意味は。

「…花奈」

「はい」

次の言葉を待ってるだろう花奈の頬に手を伸ばして。

引き寄せる。

オレの胸の中に顔を埋めるような花奈の耳元で。

「…今夜は、ここにいろよ」

呟いた瞬間に、ピクンと身を竦めて。

けれど、小さい声で。

はい、土方さん…。

そう聞こえたから、もう構いやしねえ。

一日遅れの誕生日を、ここで祝わせてくれ。

恥ずかしそうな顔でオレを見上げた花奈にまずは深く口づけて…。



誕生日、おめでとう。





fin


つばさ様へ


コトノハ 茅杜まりも  2013/12/11




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