ストレスなんて吹き飛ばせ![2/4]
「銀ちゃんはいいな、ストレスとかないんだろうな」
「?!今軽くバカにしてない?銀さんだってあっからね?ストレスとかめちゃくちゃありすぎて髪の毛天パになったんだから」
「…へぇ」
「つ、冷てえっ!!あのね、こうしてることが銀さんのストレスだったりすんの!!」
「っえ…」
私とこうしていることが、ストレス…?
その言葉に自分の感情が追いついて来ない。
信じたくない、けれど…。
銀さんは私と甘いもの食べる度にストレスなの?
もしかして、今までもそうだったのに私気付かないで銀ちゃん振り回してた…?!
「っ、ご、ごめ…」
言いかけた瞬間に、涙が落ちてくるのを止められなくて。
銀ちゃんの目がまた見開いてオロオロと私の横に座ると頭を撫でてくれる大きな手。
「悪ィ、言葉足りなかった、ごめんな?お前じゃねえのよ、お前とパフェだの甘いの食ってんのは楽しいの。そうじゃなくて、オレのストレスの元とはさ」
「誰に断ってウチの隊士泣かしてやがんだ、この野郎」
背後からかかるドスの利いた低い声に、銀さんはため息をつき私はビクッと身を固めた。
「旦那ァ、花奈が何かしやがりやしたかィ?何もしねえのに泣かすなんてのは、ただのドSですぜ?武士道に反しやす」
見なくてもわかる、サディスティック王子。
「…ねぇ、何で毎度毎度湧いてくんの?お宅の言いがかり上司と自分が武士道に反してる人…」
「…何で、でしょうか?私発信機とかついてたりします?」
「…尾行されてんじゃね?ホラ、お前んとこのトップの技、あれ見習ってんだろ、多分」
「銀さんの言ってたストレスってもしかして」
「そ、もしかしなくてもこの人たちに決まってんじゃん」
良かったぁ、私じゃなかった、とホッとするのも束の間。
「テメエら全部聞こえてんだよッ!!」
振り向いたそこには鬼のような顔をした副長と、バズーカ担いだ沖田隊長が立っていた。
「花奈、何度も言ったはずだよな?休みのたびにコイツと出かけるのは止めろって言っただろうが」
「私だって何度も言ったはずです、プライベートくらい自由にさせて下さいって」
こっちへ来いと私を捕まえようとする副長の腕から後ずさって。
銀ちゃんの後ろに隠れる。
挟まれた銀ちゃんは一応私を庇ってくれているものの、副長の剣幕に辟易している様子。
恥ずかしい、こんな上司で恥ずかしい。
乙女のスイーツ天国で制服着て大声で怒鳴り散らすなんて、ホラ隣の席の女子、副長の怒鳴ってるとこ写真撮ってたからね?!
またツイッタァで叩かれるんだからね?その度にウチが肩身狭くなるんだっていつも言ってるでしょうがァァァ。
…でも、言っても無駄なことはもう言わない。
「花奈、そんなに甘いもん食いたかったらオレを誘いなせえ、いくらでも奢られてやりやす」
「…だって隊長と食べに行くと奢りはもちろんだけど、全然楽しくないっ!!首輪とか犬じゃないんですからね?!」
楽しくないっ!と言った瞬間、バズーカがこっちに向いた。
それもまた銀ちゃんを盾にした。
「う、撃つなよ、総一郎くん、一般市民巻き込んだら又明日の朝刊トップになっからね?!」
そう言われてようやっと隊長はそのバズーカを舌打ちしながら降ろしてくれてたけれど。
問題は隊長じゃない、この鬼だ。
「大串くんさ、何で花奈がオレと甘いもん食いに行くの禁止なの?ヤキモチ?!」
「ッ、誰がヤキモチだ、ゴラッ!!オレは上司としてだな、元攘夷志士なんかと花奈が友達だってえことが気に入らねえんだよッ!!!」
「だからァ、それをヤキモチって言うんじゃねえの?ヤダねえ、男のヤキモチはさ、みっともないよ?大串くん」
「ちげえって言ってんだろ!!!」
そう怒鳴る大串くん、否、副長と視線がかち合った瞬間。
…副長、赤くなった…?
「土方さーん、その顔じゃァ説得力ありやせんぜ?」
「ッ、何がだよッ?!」
真っ赤になったのって血圧上がってるだけか、ゼイハァしている。
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