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You need Me,Don't you?[2/4]

「花奈、…なんでお前がここにいる?」

土方の右眉がヒクリと上がると、花奈はエヘっと首を傾げた。

「お前に集合かけた覚えはねえ、戻れ」

屯所の玄関口で顎でそう命令すると、泣きだしそうな顔で花奈が土方を見ていた。

「…泣いてもダメだ。おい、総悟。テメエんとこの隊士どうにかしろよ?」

「へい、オレもダメだってそう言ったんですがねィ。どうしても着いてくるってきかねえんでさァ」

「…足を引っ張るような真似しません、ですからどうぞご一緒させて下さい」

引き下がる様子もない花奈に土方はため息をつく。

「総悟…何かあったら隊長であるテメエのせいだ。わかってんな?」

「何かあったら一番にオレが叩き斬ってやりまさァ。それでもいいんですねィ、花奈」

「ハイッ!!!」

返事だけは一丁前だけれど、今日の相手は攘夷浪士。

しかも敵のアジトへの襲撃なのだ。

だから選り抜きのメンバーだけを集めた中に、何故かコイツがいる。

剣の腕前だって並、力はやはり女だけあって非力、ガッツだけは誰にも負けないと唇噛み締めながら泣きじゃくる手間のかかる落ちこぼれ…。

案の定、隙だらけな構えの背後にはそれを狙う浪士の姿。

…足引っ張るなって言ってんだろが。

たまらずに花奈の背中にピタリと背をつけて。

「前にだけ集中しろ、いいな?」

背中はオレに任せろ、と告げるとハイッとそのか細い腕で相手に斬りかかって行く。

確かに前にしか集中してない様子で、慌ててその背後の敵を叩き斬っていく。

本当であれば、自分は中へ中へと斬り込んで行き敵の頭をヤリに行くつもりだったってえのに。




「…すいませんでしたっ」

…だから言っただろ。

「別にいい、がしかし二度とオレの指示に逆らうようなことはするな、お前にはお前の活躍の出番ってもんがあんだよ」

庇いながら戦ったせいで、珍しく深い傷を負った。

肩に食い込んだ切っ先に一瞬崩れかけたものの、いち早く花奈がそれに気付きその剣を弾き飛ばしてくれて事なきを得たのは確かなのだけれど。

元を正せば、花奈の危なっかしい戦い方から目を離せなかったのもあって。

…苛立っていた。

思うように自分が動けなかった、ことではなく。

「お前も早く手当てしとけ」

その頬の傷、かすり傷ながら…少し大きい。

血を垂れ流し拭こうともせずに、懸命にオレの傷を覗き込んでいるバカは。

「こんなの唾つけとけば」

と本当に唾つけて拭おうとしたのを押しとめた。

「治るわけねえだろっ、ッチ、オイ山崎いるかー!!」

「ハイ、副長!!」

どこからともなく二人の前に走り出てきた山崎に一瞥して。

「とっととこの傷手当てしてやれ、傷がキレイにならねえ場合は二人とも切腹だからな!!」

「え?!な、何でオレもっ」

「いいからとっとと行けっ!!」

追い払うように促した瞬間に。

一瞬見えたのは、花奈の頬を伝う…涙?




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