I will be in place for you〜私があなたの居場所になる〜[3/4]
ある日、花奈が風邪を引いた。
部屋に引きこもる花奈の元に。
交互に襖を開けて大きな顔と小さな顔が覗きこんでくる。
「うつるから、あっち行ってな?」
そう言うのに。
うとうとして起きればそこに二人が横に布団敷いて寝ているのだ。
花奈の大好きな和菓子やら、果物を目一杯枕元に並べて。
さながらそれは供物のようで。
「何の宗教だい、これ」
苦笑しながら、寝相の悪い二人に布団をかけてやる。
小さな寝顔をそっと撫でれば眠りながらクスクスと笑う。
大きな寝顔を少し抓ってみれば。
ニヘッと笑って。
『大好きだよ、花奈ちゃん…』
ムニャムニャ幸せそうに呟く寝言に。
寝言だからこそ、花奈もまた素直に。
「…私、も…だ」
聞こえないように呟いたのに。
「本当にっ?!」
そんな声が聞こえて驚く。
見れば勲は狸寝入りだったらしくて、ニコニコと嬉しそうにこちらを見ていて。
「っ、寝てたんじゃないのかい!!!」
しまった、と真っ赤になる花奈にえへへと悪びれず起き上がる。
「勇を寝かしつけるのに横になってただけだよ?」
「…何でここで寝かしつけてんのさ、風邪がうつっちまうだろうに」
「だって勇が母ちゃんの側がいいってきかないから、せめて寝るまではと」
そう言って勇を布団ごとズルズルと移動させ、隣の間へと置きその襖を閉めた。
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