×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
未来への予感[4/4]

遅めのランチを取ってまた園内をウロつくと。

「あー!!!!」

この遊園地のメインキャラクター、ニッキーのぬいぐるみが並んでいる。

「あんなんが欲しいのか?」

子供のもんだろ、と呆れている土方さんに、あれは子供のものじゃなく世界中の人のものなんですぅと口を尖らせた。

「仕方ねえな」

とそのぬいぐるみのコーナーに向かうと、どうやらそのぬいぐるみはゲームの景品。

ボールを投げてピンを倒すというボーリングのようなゲームだけれど微妙に曲がったレーンに3球しかないボールで10本倒すのは至難の技。

上手く行く人もいれば、1本も倒せずに終わる人も。

いよいよ、土方さんの番。

「頑張って下さい!!」

手を合わせて必死に祈る私に。

「プレッシャーかけんじゃねえよ」

そう苦笑しながらも。

「おらっ、好きなの選べ」

見事全部倒してくれた。

「…土方さんって」

「あ?」

「スーパーヒーローみたいっ!!!」

ありがとう、と笑うと…ほら、また赤くなる…。

…この顔、見れたことの何と幸せなことか。

夕暮れが近付いてきても尚、離れがたくて…。

次の約束を私から言っていいものかどうか、だったけれど…。

「楽しかった、です」

「…そうか」

「また…来たい、です、なんて」

照れ隠しに冗談めかせば。

「…次の休み、覚えとく」

ぶっきらぼうだけど、そんな言葉が返ってきたことに嬉しくて見上げれば…。

一瞬、目が合った。

思わず出た言葉に自分で驚く。

「…帰りたくないな…」

しまった、と思った瞬間に土方さんは私の手を握りツカツカ歩き出す。

辿り着いたのは、観覧車で。

夜景のよく見えるそこにはたくさん並ぶカップル。

こうして手を繋いでいれば私たちもそう見えるのかな?

後ろから押されて、土方さんの胸にトンと当たってしまうと。

…そのまんまでいい、と落ちてくる低い声。

甘えたままでその胸に寄り添えばトクントクンと少し早い胸の音に。

…自分と同じ、なの?と。

その顔を見上げた。

…瞬間、見なきゃ良かったって後悔した。

だって目が合って離せない。

こんなに近くにいるのに、尚も寄り添っていたくなるほどの。

甘い視線を外すことができない。

…観覧車、乗ったら私たちどうなっちゃうだろう…?

周りのカップルたちは自分たちのことしか見えてないから。

そんな周りに溶け込んでしまうように。

そっと土方さんにしがみつく…。

背中に回るその腕の強さに…。

きっと、少し。

これから先の未来に。

変化が訪れる瞬間が後少しで来ること。

________予感してる。






fin

つばさ様へ


コトノハ五萬打リク

茅杜まりも 2013/10/1




目次へ
[4/4]