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「#幼馴染」のBL小説を読む
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未来への予感[3/4]

「…怖えのか?」

「怖くなんか、ないですよ?」

「その割りに声震えてんじゃねえか」

そ、そうだけど!!

土方さんだって、声震えてるじゃないですか?!

キャァァァっという悲鳴と共に井戸から飛び出す貞子ばりのキャスト!!!

「イヤァ、いやっ、いやっいやぁぁぁぁ!!!!!」

「っ、ざけんなっ、あぁ?!こっち来るんじゃねえぞ、オラァァア!!!」

え?!

土方さんが腰に下げた刀に手をやるのを慌てて止める。

…アレ?もしかして…。

「土方さんも、…苦手、ですか?」

「…んなわけねえだろっ!!…ちょっと、アレだ、お前の声のデカさに驚いただけで、あんなもの作り物じゃねえか、怖くも何とも」

ガタンッ!!!

少しの物音に土方さんが私の手をギュッと握る…。

「…別に、これはっ」

焦って振り払おうとする手を私はギュッと握り返す。

「…怖いので、手握っててもらってもいいですか?」

見上げたその顔が困ってたけれど。

「…ああ」

きっと暗闇でわかりづらいけれど、きっと土方さん、私に負けないぐらい顔が赤そう…。

こうしてれば怖くないですよね、二人とも。

寄り添ってお化け屋敷を乗り越えた、けど…。

「…土方さん、私ポップコーン買ってきます!!」

そう言って列を抜け出そうとする私の襟足をグイッと捕まえる力強い手。

「次じゃねえか、乗ったことねえって言ったのお前だろ?」

「…そう、ですけど…」

だって近くで見たら、めちゃくちゃ落ちるスピード早くないですか!!フリーフォール!!!!

「行くぞ」

逃げないように捕まれた手首。

引きずられるように、固定されてしまって。

…。

土方さんを見ると半笑いでこちらを見ている。

意地悪っ!!バカバカバカ!!

「もーーーーーーーー、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

急降下の瞬間にそう叫んだきり、声すら出ず…。

その後の魂の抜け具合に、どうやってベルトを外して降りたのかもわからないほどで。

気付けばベンチで土方さんの肩に寄りかかっていた…。

「悪ィ、お前絶叫系苦手か?」

「…ふぁい…ジェットコースターは無理だけど、これならイケるんじゃないかと思ったんですが…甘かったです…」

ショボーンとする私の頭に土方さんの手が乗ってきて。

「すまねえな」

そう言いながら肩を抱きしめてくれるから…さっきの意地悪な笑いは全てチャラにしてしまう。

本当はもう具合も大分いいけれど。

きっとそれもわかってそうだけど。

…甘えてもいいですか?

目を瞑って、土方さんに凭れかかった。




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