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未来への予感[2/4]

「…お待たせいたしました」

いつもの丈の長い着物とは違う。

私だって若いんだもの、たまには短い丈の着物だって着ちゃうんです。

土方さんはそんな私を見て、ただ口を開けていたけれど。

私だって驚きです。

土方さんが着れば“ただの”着流しが、どれだけカッコいいか。

キューンってまた引かれちゃうんですけど。

「行くか?」

「はいっ」

並んで歩き出せば、頭一つ違うその身長の高さにある顔を見上げて嬉しさがこみあげてきて。

ニマニマしている締まりのない顔していたら。

ふっと土方さんの視線が私に向いて。

み、見られた!!!!

変な顔見られたァァァ。

屯所から電車で30分のとこにある遊園地はさすが出来たてで。

まだ開園前だというのに待っている人の数が半端じゃない。

迷子にならないようにしないと、と無意識に…。

「オイ」

「はい?」

何事かと見上げると土方さんの視線が土方さん自身の袂を見ていて。

同じように私もそこに視線を走らせてギョッとした。

だって、自分の手が思い切り土方さんの袂をギュッと握ってたんだから!!!

「っご、ごめんなさい!!」

そう言って引きかけた手を。

「…迷子になるんじゃねえぞ?」

とその大きな手で握り締めてくれて、つまりはそう手を繋いでくれていることに抑えられない興奮。

「…はい」

真っ赤になって俯いた私をきっと気持ち悪いとか思ってないだろうか?とコッソリと見上げれば。

心なしか土方さんの頬も…?

「似合わなくね?」

「いや、釣り合い取れてねえだろ、アレ」

「女、出直して来いってえの」

…クスクスと笑いながら、こちらを見ている女の子三人組…。

ああ、それって私のこと、だよね?

いいよ、わかってるもん、私だってそう思うし…。

けど、土方さんが趣味悪いと思われるのだけはイヤだな…。

そう思って引っ込めようとした手を土方さんはギュッっと痛いほど握り締めてくれて。

その目はギラリと揺らめいて、その3人組に鬼の形相を浴びせて威嚇している。

ヒッッっていう声とともに3人がそこを離れたのを見て。

土方さんの口角がニヤリと笑うのを見た時には、まるで子供みたいだな、と笑ってしまった。

ケンカに勝った悪ガキみたいな顔…可愛いな、なんて。

…多分、私を庇って下さったんだな、って思ったら嬉しくて。

「土方さん」

「あ?」

「…ありがとうございます」

そう微笑めば。

「何のことだ?」

…そうすっ呆けるあなたが好きです。




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