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君との距離感[2/4]

「お疲れ様でしたー!!」

自分の仕事を終えて机周りを片付けていると、花奈サンが目の前に立っていることに気付く。

腕組みをし見下ろすその姿に。

「…オレまた何かやらかしました?」

思い当たる節が多すぎて、う〜んと唸っていると。

「近藤クン、この後暇?」

「あ、残業ですか?!ハイ、もう何時まででも大丈夫です!!」

「残業じゃないんだけどね」

クスリと笑う花奈に首を傾げた。

「ご褒美!今日の書類完璧でした!あ、上司と飲むのはご褒美とは言わないか、むしろ拷問?」

「いっ、いえェェェェエ!!!!!ご褒美です、ハイッ!!」

勢い良く立ち上がれば、膝をしこたま机の角にぶつけて痛がる近藤を花奈はクスクスと見下ろしていて。



「…で、ね…、課長が言うワケですよー、言ってくれるワケですよー」

「簡単に『やれ、やっとけ』って?」

「そう!!近藤クン、よくわかるよね?まるでその場にいたみたいー」

ヒャハハっと笑う花奈に近藤は苦笑する。

だって、この話は今日もう3回目。

一言一句覚えちゃうってば。

「花奈サン、それでも頑張ってやったわけでしょう?」

「そう!!そうなの!!凄くない?私、凄くない?」

ねぇねぇと目を輝かせる花奈は、しこたま酔っ払っている。

「素晴らしいです、花奈サンの仕事っぷりには脱帽です!!」

いつも以上に褒め称えると満足そうに花奈が笑って。

コテンとカウンターに頬を乗せた。

赤くなって潤んだ目が可愛くて。

思わずドキッとしてしまった。

「…頑張ってんだってー…私だってさ」

一瞬泣いてるのか、と思った。

「花奈サンの頑張りはオレら、よく知ってます。本当に一つ一つの仕事、どれも手を抜かないしこなしていく姿勢。ちゃんと見てますから」

「見ててくれてるの?」

「ハイ」

「近藤クン、手貸して?」

「手、ですか?」

カウンターの上に両手をあげると、花奈は自分に近い方の近藤の左手を取り自分の頭に乗せた。

「撫でて?」

見ると唇尖らして膨れていて。

「花奈サン?」

子供みたいなその顔を覗き込めば。

「撫でて、よく頑張ったって言って?」

…あ、涙…。

「よく、頑張ってます、よく頑張りました、いつもいつもお疲れ様です」

よしよしと何度も何度もその頭を撫でてやれば、泣きながら気持ち良さそうに目を閉じてしまって。

…アレ?

「花奈サン?」

少し揺すってみたけれど。

「もしもーし、花奈サーン?」

ビクともしない…えっと、ですね。

「どうされます?」

カウンターの中の店員が困ったようにこちらを見ているので。

「あ、会計、これで…とタクシー呼んでくれます?」

そう言って近藤は花奈を抱え上げた。






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