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- ナノ -
絶対服従!![4/4]

___________ 温かい。

自分の身体が他の温もりに寄り添っている感覚。

それが何かを確かめようと目を覚ませば。

誰かの胸に寄りかかって眠っていたようで。

「…ご主人様…?」

見上げたその顔は黒もじゃさん。

あれ?!私、何で?!

「貧血でも起こしたんじゃろうて。パタンと倒れてしもうたがかー!」

そう言われて気付けば確かに気を失う前と同じ、黒もじゃさんに抱かれた格好で。

「あ、あの…もう1人のご主人様は?」

「夕方から仕事あるちゅうて、さっき帰っていったが。」

夕方?仕事?

サァっと青ざめた私が周りを見回せば、店はすっかり夕方のようで。

忙しく他のメイドさんらが動き回っていて。

「心配することないき。花奈ちゃんは今日一日この坂本辰馬が買っちょるきに」

私を一日買った?

え?

ご主人様、すごい、もしかして物凄い金持ちとかそんなんだったり?!

「すいません、迷惑をおかけしてしまって」

離れようとするとガシっと捕まれる腰。

「わしゃ、迷惑だなんて思うちょらんき。が、花奈ちゃんがそうじゃって言うなら」

蒼い目がニッと三日月のような細さで笑い駆けてくる。

「ほんにわしだけのメイドさんになってくれんがか?」

「え?!」

「イヤならええきに。いかんにとは言いやあせん」

イヤといえば、ここまで。

そういうこと…だろう。

選ぶのは自分自身だ、と。

来いと言われたら、行ってしまうのに…。

この甘くてヒドイ選択のさせ方に一瞬戸惑って…だけど。

見下ろすその視線に気付けば頷く自分がいて。

驚いた。

「じゃあ、挨拶ばしてみとおせ」

挨拶…?

ポォっと見上げたその視線の先から促すような優しい微笑み。

「…ご主人様っ」

「ん?」

「ご主人様だけのメイドに…して下さいませ」

きっと真っ赤だろう私の頬に添えられる大きな温かい手。

「よお言えちゅう」

ニヤリと満足そうに笑ったご主人様にしてやられた感たっぷりで。

けれど、その見下ろす視線のクルクル変わる色に。

絡め取られてしまったみたいで。

キュンとしちゃって。

「ほなら、ご主人様じゃなく辰馬様じゃ、わかっちゅうか?」

「はい、辰馬様っ」

ほんに素直な女子じゃ、耳元で囁いだ唇が首筋に痛いほど吸い付いて。

「わしのモンじゃき」

と抱きかかえたまま歩き出す辰馬様の胸の中に。

頷いて。

顔を埋めた________________。








fin

くゆる様へ


コトノハ五萬打フリリク


茅杜まりも  2013/9/26




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