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「#幼馴染」のBL小説を読む
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永想[2/5]

「やっと、来れたよ、ミッちゃん」

静かに墓石に手を合わせる花奈の横に総悟はじっと立っていた。

目の前の墓石は最愛の姉ミツバのもの。

花奈もまたミツバを姉のように慕っていたから。

「お墓はこっちにあるって聞いてたから…、江戸に来たら必ず来たいなぁって思ってたの」

手を合わせながら、何をそんなに真剣に祈ってるのだろうか。

しばらく無言のままミツバに心の中で何かを話しかけているようで。

「きっと今日総ちゃんと逢えたのはミッちゃんが引き合わせてくれたのかもしれないね」

「そう、かもしれないねィ」

…姉上もまた花奈のことを妹のように可愛がってたから…。

ようやく顔をあげた花奈は笑顔で、ホッとした。

もしかしたら思い出して泣いてるかもしれない、と心配したのだから。




花奈は、沖田にとって唯一の同い年の幼馴染だった。

明るく活発な花奈は他にもたくさん友達がいたのに。

何故か気付くと沖田の側にいた。

ミツバのことも大好きで『将来はミッちゃんみたいな素敵なお姉さんになりたい』とよくそう言っていたのを聞いて。

沖田も気を良くしたのを思いだす。

総ちゃん、総ちゃんと纏わり着く花奈が何だか憎めずに。

意地悪なこともせずにただ純粋に仲のいい幼馴染として…、いや。

多分、ほんの少し恋心を持って。

花奈には接していたのだと思う。

『総悟って意地悪だから一緒に遊びたくない』

花奈に引きずられて同い年の子供たちと遊ぶために連れて行かれた場所で。

目の前でそんなことを言われて。

ほんの少しだけ、子供心に傷ついた。

だから、それよりもっとひどい言葉を投げかけてやろうとその子らを睨むと。

『総ちゃんは、優しいよ?』

花奈が沖田を庇うように立ちはだかった。

『総ちゃんに謝ってよ?ひどいこと言わないでよ!!皆総ちゃんのこと何も知らないくせに』

泣き出した花奈に驚き、皆が一様に沖田に向かって謝ってきたけれど。

今でも忘れない。

後にも先にも。

自分のことを優しいなどと言う女は花奈以外にいなかった。

だから。

「やっぱ総ちゃん変わってない、親切だし優しいし」

そう微笑まれて、恥ずかしくなって目を反らす。

花奈の目に自分はどんな風に映ってるんだろうか…。





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