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おかえりなさいR15[2/4]

「…こっち、来ないで」

湯船の中で、近づいてくる辰馬にピシャッとお湯をかけたけれど。

そんなんで怯むような男ならば、きっととっくにもうサヨウナラだったけれど、ニヤッと嬉しそうに笑うこの男は絶対に怯むことない。

こうした関係はもう二年にもなる。

宇宙からここに帰ってくるたびにまるで自分の家かのように居座って。

今回は夏のバケーションとか言ってるけど、割と年がら年中頭の中がバケーションだし帰ってくるときは「え?また?」ってぐらい頻繁で。

が、今回は長かった、3ヶ月も音沙汰無し。

あぁ、とうとうお終いかな、なんて。

銀さんに愚痴ったばかりだった。

定春くんの主治医である私のとこに銀さんはいつも遊びに来てくれる。

…本当は私、どうせダメな男なら銀さんの方がいいなぁ、なんて思ったこともある。

だって、少なくてもコイツよりは側にいてくれるから。

チャプンとお湯を掻き分けて、私の胸元に手を伸ばしてくる変態に。

とりあえずもがくけど、大きなその身体にすぐに囚われて抱きこまれる。

「寂しかったがろ〜?」

ハムハムと甘噛みするように私のうなじに辰馬の唇が当たる。

「全然っ…むしろ、もう二度と来るなよって思って」

言いかけた言葉を、後ろを振り向かせられ無理に塞がれる唇。

…すぐに、辰馬色に絡め取られてしまうのが悔しい。

何も、考えられなくなる。

「っふぅ…」

繋がる銀糸を愛しそうに辰馬の舌が舐め取って、私を自分の上に座らせて好き勝手に口付けてくる。

言いたいことはいっぱいあるのに。

「気持ちええがか?」

ダイレクトな言葉が甘く耳元で囁かれた。

その吐息交じりの声に、いつだって私は弱い。

コクンと頷けば満足そうに辰馬は笑って。

「愛しちゆうよ、花奈」

首筋に鎖骨に紅く咲く花。

…客商売なんだから止めて、見えるとこは!!

普段から言っていても聞いてくれないおバカ犬。

わかってる、もう、本当に。

このバカ犬に自分がヤラレまくってハマっちゃって身動き取れないんだってこと。

「どうして、こう花奈はきれえなんろ〜」

はぁはぁと息を整えつつ、湯船の中で抱き合ったまま辰馬の目を見ると。

優しく微笑んでいる。

悔しい、その目が大好き、大好き…愛してる。

そんな気持ちで首筋にしがみつけば。

「ちくっと激しくしてしもうけんど、すまんが」

耳元で聴こえた声に頷けば辰馬の切ない声で私も切なくなる…。






ある日定春くんの飼い主銀さんが。

定春くんを連れてきて。

「すいませーん、噛り付いたまんま離さなくなっちまったんですよー、どうやったら駆除できますかね?この毛玉」

定春くんにガップリと噛み付かれて頭から血を流してアハハハハーと笑う毛玉との出会い…。

それがまさかこんな風に発展するなんてね。




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