to remind[4/6]
花奈を送った後で町をウロついてヤローを探した。
多分、落ち込んでるんだろうその背中を見つけ、またヒシヒシと罪悪感が襲ってきた。
「おい」
パトカーをゆっくりとヤローの横で併走させてやれば。
「…あんだよ?」
面倒そうな顔でこっちを見てやがる、何だよ、その敵対心丸出しの目はよォ。
わざわざ探した目的を忘れそうになるよな腹が立つ目だ。
「今、花奈を送ってきたとこだ」
「あ〜、そうですかー。随分長い時間お疲れ様でしたァ」
「チッ、嫌味かよ…、万事屋テメエ。妬いてやがっだろ?」
「は?は?はァ?大串くん、何言っちゃってんのォ?意味わかんねェんだけど?やっぱアレだろ?煙草の吸いすぎって頭ん中まで煙で犯されちゃうんだ、怖ェなァ!禁煙したほういいぜ?じゃァお大事にね」
誤魔化そうったって、そうはいかねェ。
歩みを早めた万事屋の腕を車の窓から手を伸ばして掴む。
「乗れよ」
「はァ?逮捕される謂れないんだけど」
「いいから、乗れ…話があんだよッ」
そっから無理やり万事屋を車に乗せながら。
この10日間の出来事を話して聞かせた。
…知らせなかったのは故意だということだけは伏せて。
「…ふぅん?」
何を考えているのか、やる気のねェいつもの顔で助手席の窓の外を黙って見てた。
「…気になってるみたいだぜ?自分が縫った浴衣の相手が誰なのか」
「…」
「テメエのじゃねェのか?」
「知らねェよ、だってそれが誰のかなんて知ってるの記憶失くす前の花奈だけでしょ?」
オレのだったら、そりゃァ嬉しいけどよ?
「言わねェけどよ、アイツは。だけど、多分その相手に会いたがってる、心細ェんだよ、きっと。オメエ、仲良かったんだろ?だったら話し相手にでもなってやれよ?」
「…大串くんでもいいんじゃねェの?話し相手なんてさ」
じとっとした目でこちらを見ている。
完璧に妬いてやがるその目に笑いそうになりながらも。
「あぁん?テメエと違ってこっちは忙しいんだよ、んな暇はねェ」
「ッチ、冷たいねェ、お巡りさんって仕事でしか人と付き合えないんだろねェ、あぁやだやだ。あ、ちょっとそこで止めて」
万事屋が示したのは花奈のアパートの側。
「どこ行くんだよ?テメエの家、ここら辺りじゃねェだろ」
わかっててついつい、そう言ってみれば。
「…いちご牛乳、安売りしてんだよ、そこのコンビニで」
何か文句あんの?と捨て台詞で降りていくヤローの背中に苦笑する。
…悪かった、な。
そう呟いて車を発進させた。
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