一生フォロ方十四フォローでござる![2/6]
「土方さぁぁぁぁぁん!!」
ヤバッ!!!
見回り途中にアイツに見つかるとは不覚、昨日と時間はずらしたってのに!!
こうなりゃとことん付き纏われるのがオチだ。
あの時名前しか告げなかったのに、店にいた客の中の1人がどうやらオレを見知っていたらしく。
「あの人は真撰組の副長、土方十四郎さんだよ!!」
とアイツに教え、翌日は屯所に洗い立ての手拭いを持ってオレを尋ねてきた。
それから、だ。
気付けばアイツはオレの側をウロつく。
仕事は?と一度尋ねたら、家事手伝いです、とのこと、つまりは良い所のお嬢さん。
ちなみに1年前にアイツを振った野郎は、万事屋。
『なァ、オレとお前が結婚したとして100パー天パーだろ?な?それって、アレだよ?悲劇しか生まれねェ!親の遺言でオレァ、黒髪のストレートヘアの女としか結婚できねーんだって。だから付き合うだけ無駄なわけよ?な?』
体の良い断り文句、そのとばっちりを受けたオレ。
フォロ方フォロ四郎になっちまったがために、この女のストーカー気質に火を着けちまったようだ。
あの野郎も、このストーカーをどうにかしたかったから、最終的にああやって突き放したんだろうな、とは思うんだけど。
…顔は可愛いんだけどな、残念だ。
「こんなところで逢うなんて、やっぱり私たちって運命なんですよね!!」
小首を傾げてニコッと笑う花奈は、今日はポニーテールに纏め上げていて。
そのフワフワした毛先はあちらこちらに飛んでいて綿毛のようだ。
見てる分には、…可愛いのだ。
けど。
「運命なんかじゃねェよ、昨日も一昨日もここで会うってのはアレかね?時間ズラしても会うってのはアレかね?オレァ、待ち伏せされてるようにしか思えねェんだけどォォォ?!」
今週分のオレの見回りルートはしっかりともうコイツの頭の中にインプットされているようだ。
「ええ?そうでした?じゃぁ明日は違う道できっと運命的に出会えるはずですよ?」
ウフフ…じゃねェんだって!!!
「なァ、毎度言ってるけどな、頼むから諦「諦めませんよ?」」
オレの言葉を遮って、その台詞をはく花奈にため息しか出ねェ。
万事屋には頼めねェからマヨラ星人以外のあの時の手は尽くした。
どんな卑猥なオタク映画にも真っ赤になりながら付き合うし、涙目になりながら土方スペシャルも平らげた。
健気、なんだよ、それはわかってんだ…。
けど、しつけェんだ、こうしてバッタリ出会ったが最後屯所までずっと付き纏われちまう。
こっちが話しかけるわけでもないのに、ただ並んで歩いてくる。
総悟ですら『気味が悪ィねェ』と顔を歪めて近寄ってこねェ。
捨て台詞のように『アンタにはお似合いでさァ』と笑っていったけど。
「土方さん、次の非番はまた映画行かれます?それとも、マヨ巡りします?」
無視無視!!
「私、最近【偉背痰】で御上御用達の美味しいマヨネーズを見かけたんですけど」
「なっ、何だと?!」
ニヤリと笑った花奈に、まんまと乗せられる。
「じゃぁ、次の非番の日お待ちしてますね」
微笑みながら見送られて屯所へと帰り着く。
こんな日がもう一年、なのだ。
気晴らしに近藤さんのお供ですまいるに行けば、何故かその日に限ってヤツがバイトで雇われていたり(多分あのメスゴリラの差し金だ、友達だと言っていたし)。
芸者遊びでもしようかと思えば、芸者になりすましたヤツが隣につくし(この情報は多分山崎あたりが流しているらしい、ストーカー気質同士気があっていた)。
お陰で、ここ一年。
ご無沙汰だ!!!
ヤツのことを彼女と思いこんで誰も近寄ってきやしねェ。
万事屋だけは時折哀れそうな顔でオレの肩を無言で叩いていく。
…誰のせいだと思ってだよ!!!
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