sugary play[2/5]
「銀ちゃん、どうしたアル?」
「もしかして花奈さんに振ら「まだ、だからァァァ!!振られてないからァァァ!!!」」
神楽と新八が哀れんだ目でオレを見ていやがる…、子供がこんな目するなんてよっぽどだよ?
よっぽど銀さん、アレなんですけどォォォ…。
「ごめんください〜!!」
「あ、噂をすれば!!」
「花奈ネ!!」
2人が駆け出すのを押しのけて玄関へと急ぐ。
「ハイ、今日の糖分」
手渡されたそれは、少し焦げのあるクッキーだったり、崩れたケーキだったり、ロールケーキの端っぺただったり。
「美味そうネ!!いつもありがとアル、花奈!!」
「いいえ、どういたしまして」
「ありがとうございます〜!!」
神楽と新八はひゃっほーいとそれを抱えて走っていく。
残されたオレはいつものように、
「上がってくか?」
と問えば。
いつものように。
「ううん、土方さんが来るから帰るね」
アレ…、アレェェェエ?
上がって一緒にお茶飲んでくんじゃねェの?!
「当分忙しくなりそうだけど、糖分は運んでくるから、ってアレ?当分と糖分だって何か私うまいこと言ってる!!」
…い、言ってねェから。
クスクスと笑いながら、それじゃ、と玄関を出て行く花奈を見送って。
ピシャンと戸が閉まってから…。
「あ、送るって」
慌てて花奈を追いかける。
「いいのに、目と鼻の先だよ?」
そうだ、100メートルもない…だから、いつも二階から花奈が店に入るまでを見送ってただけで。
今日のように送ってくなんてことは初めてで、並んで歩くこともあんまなかったから何話したらいいのか、なんて。
「銀ちゃんは?何かリクエストある?」
「ん?」
「局長さんの誕生日終わったら一ヵ月後は銀ちゃんのだよ?誕生日」
「あぁ、…んと花奈が作るんだったら何でもいいや、うめぇから」
「えぇ?私にお任せ?」
「うん」
「わかった、銀ちゃんが大喜びしてくれそうなの作るから!!楽しみにしてて?」
…あぁ、可愛いなァ、コノヤロー。
何て無防備な顔で笑いやがる!!
その顔に銀さんね、どんだけ癒されてんだか知らないでしょ?
「あ、土方さん待ってる!!」
その声に、店の方を見れば確かに着流し姿だけれどアノヤローが気取った顔して立ってやがる。
「んじゃ、まァ頑張れよ」
店まで行かずに足を止める、アノヤローの側まで行けばきっとまた面倒臭い言い合いになりそうだしな。
「うんっ!!頑張るよお!!銀ちゃん、また明日ねっ!!」
フリフリ手ェ振って走っていく、犬だな、うん、犬。
店に入っていく2人の姿を見送って、一人万事屋へ帰れば。
既に今日の分の糖分は神楽と新八の腹に納まっていて…救われねェ…。
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