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さよならなんかは言わせない[6/6]

鳩が豆鉄砲食らった顔ってこんな顔だろな。

口半開きにして丸い目が瞬きもせずにオレを見てるから。

今度はその唇にそっとキスした。

それからギュッと花奈を抱きしめると。

シクシク泣き始めたかと思うと、加速するようにどんどん声を上げて泣き出していく。

ずっと堪えてたんだろ?

もっと早くオレに言えよ。

いや…、来るもんだって思ってたんだ、お前は。

しつけェだの邪魔だの言って追っ払ったって明日にはまた『銀ちゃんっ!!』ってオレに抱きついてくるんだろ?って。

…悪かった、大事な時に側にいてやれねェで。

辛いときに抱きしめてやれねェで。

お前と会えなくなってポッカリと空いたような寂しさに。

ようやっと気付いたってんだから、どんだけオレァ鈍感だっつうの。

「ごめんな」

銀ちゃんのせいじゃないって何度も首を振る花奈だからこそ。

今このまんま行かせたくはねえ。

…側にいろよ、ウザイぐらいに。

『銀ちゃーん』って笑ってろ。



「さァて、と!けぇるか」

公園のベンチに腰掛けて花奈が泣き止むのを待っていたら、既に日は暮れて。

多分新八と神楽はソワソワしながら帰りを待ってるんだろな。

「あ、あたしっ」

「あー引越し先に荷物全部運んどいたんで」

「え?!」

「万事屋にお前の荷物全部あっから!!」

鼻の頭を赤くした花奈が首を傾げている。

「お前の職場行って故郷聞いてさァ、さてほんじゃ一丁迎えに行ってやるか、なんて思ったらホームにいんだもんよ、気ィ抜けたわ」

ホレと手を差し伸べても花奈はまだ困った顔してオレの手を見ているだけ。

「急に来なくなったら心配になんだろ?誰か他にいい男でもできちまったのかって!!」

「っ、いないっ!!」

「知ってる、銀さんよかいい男いねェもんな?」

ヘラッと笑うと花奈は真っ赤になりながら素直にウンウンと頷いていて。

…そうだよ、可愛いんだよ、コイツはさ。

「ったく、…ほっとけねえから側にいろよ」

するとブンブンブンっと首を横に振って。

「ダメなの!!」

とまた泣き出しそうで。

「ハァァァ?!ダメって、マジで言ってんの?!オレがせっかく花奈の良さに気付いちゃったのに?!花奈がいいって言ってんのにィィィ?!」

「だってヤなんだもんっ、銀ちゃんの隣にいるのがあたしなんて皆ビックリしちゃうからっ」

「可愛すぎて?」

「違うっ、気持ち悪いっ、あたし…」

はー…やっぱりな。

うーっと歯を食いしばる花奈の頭に。

ゴツッと大きな拳骨を落とした。

「ッッタァァァ!!」

「いてえだろうな、かなりいい音したし」

何で?!と涙目で見上げる花奈を。

「二度と自分のこと気持ち悪いなんて言うな」

もう一度抱き寄せる。

「…オレが可愛いって言ってんの。お前はお前だよ、前と何一つ変わっちゃいねェから」

「っ、銀ちゃんっ…、銀ちゃぁぁぁぁんっ!!!」

ギュッと胸にしがみつく花奈がもう一度泣き止むまで待ってやる。



「あ、明日さァ、ケーキ作ってくんね?苺いっぱい載ったやつ」

「あーーーー!!そうだ!!そうなの!!銀ちゃんの誕生日!!」

また逃げられないようにと手を握って歩く万事屋への帰り道。

いつの間にか花奈のがしっかりとオレの手を握っていて。

その力強さに安心する。

「知ってたんだ?」

「勿論っ!!銀ちゃんのことなら3サイズまで知ってる」

ヘヘッと笑う花奈のその顔が。

傷なんて感じさせないぐらい眩しく見えるなんて、オレもどうかしちまってんな。

「ほォ?なら銀さんのジュニアもサイズ知っとく?前夜祭で今夜は花奈のこと食っちまおうかな〜?なんて」

「う、う、う、う、うんっ!!!ええ、もうっ、是非是非っ!!ってアレ、やだっ、違うの!!えっとっやっぱりそのまだ早い気もするけど、銀ちゃんがどうしてもって言うならあたし断われないかもしれないっ、あー、けどけどっ」

真っ赤になってあーでもないこーでもないと笑う花奈に苦笑してると。

花奈が不安そうな顔でオレを見上げて、だけど。

「銀ちゃん…」

「ん?」

「大好きっ」

ふにゃっと締まりのない顔で笑う花奈が。

愛しくなった、なんてまだ言ってなんかやんねえけど?

最高の笑顔を覗かせた花奈に立ち止まってもう一度キスして。

コイツのこの笑顔をずっと守っていこうって、誓った。









fin







アトガキ

銀ちゃんBD企画第二弾です☆

実はこっちが最初に考え付いてた方なんです〜!

さっちゃん大好きな私としては、さっちゃん風味なヒロイン(つまりは愛のハンター笑)を銀ちゃんへとぶつけたくて♪

「けーたっぞー、新八ィ、神楽ァ!」

「おかえりなさいっ、銀さん!花奈さん!!」

「花奈、待ってたヨ!ちゃんと荷物運んでおいたネ!花奈の部屋は私の部屋の下ネ!!」

なんていうのがこの後待ってたりして。

で今夜はしっかり身体洗った花奈ちゃんがスタンバってるのかもしれないけれど。

銀さん昼間花奈ちゃん探しで疲れてるから待ってる間に寝ちゃったりして?

こんな楽しそうなハッピーバースデーならいいなぁと思って作りました♪

いつか傷もキレイに治っちゃいます♪

明日はきっと大好きな銀ちゃんと幸せ一杯な誕生日。

銀ちゃん、誕生日おめでとォォォ!!

2014/10/9  茅杜まりも


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