ずっと、ずっとね…3[2/5]
今、何時だろ?
暗闇の中で携帯を捜す私の耳に聴こえたそれは。
ギシッ…、ガタン。
え?!
風の音…?じゃない、家の中から聞こえたような…。
ゴクンと唾を飲み込んで息を殺して様子を探る。
学校から帰ってきてすぐに戸締りはしたから、誰かが入ってくるなんてそんなことはあるわけがない。
なのに、この家のどこかで。
ギッギッと誰かが歩く音がする。
多分、その物音で目が覚めたんだ!!
耳を澄ましてわかるのは、それは自分が今いる一階ではなく。
どうやら二階から聴こえてくるようで…。
一気に血の気が引く、だって私自分の部屋の窓の鍵閉めた覚えがない。
開いてたはず!!
そう思った時、足音が階段を静かに降りてくる気配。
階段の方に目を向けると懐中電灯のような小さな灯りと共に足音がどんどん近づいてくる。
「ッ!!」
逃げなくちゃ、そう思うのに足が竦んで起き上がることすらできない。
ギュッと身を固めるようにして頭から布団を被って。
息を潜めて必死に祈る…。
どうか気付かれませんように。
どうぞ私に気付かないで下さい、と。
全身が心臓になっちゃったんじゃないかってぐらい耳の中でも鼓動が早鐘のように打ち鳴っていて。
だから…。
布団を捲られた瞬間に目を瞑りもっと小さく身体を竦めた。
落ちてくる涙を隠せないままで。
これが泥棒なのか、それとももっと別の例えば女の子に悪戯目的の…。
もう、ダメだっ…、お母さん、お父さんっ、…辰馬っ…。
「っ、助けて…、辰馬っ…、お願い、助けて…」
喉が押し潰されたかのように恐怖で声もうまく出せなくて。
殺されるの?それとも…。
ビクンと体が竦んだのは、布団をはぎ私を見下ろす人物の手が。
頬に触れたから。
「…、っやっ…、やぁぁぁぁっ」
泣き叫ぼうとした瞬間にその手が私の声を遮るように口を塞いでパニックになってバタバタと身体を捩ると。
「わしじゃ!!わしちや!!花奈!!!」
振り回した手や足がその人物にボコボコと当たっていて。
「イダッ、花奈、落ち着きーや?!わしやき」
と、暴れている手を押さえつけられて。
「花奈、目開けとおせ?」
…、アレ?
この、声…って。
「花奈?」
そっと目を開けると私を押さえつけてたのは辰馬で。
「た…つ、ま…?」
「そうじゃ」
「…何で?」
安心した瞬間に押さえつけられていた手を振り払って起き上がる。
「何でビックリさせんのよォォォォッ!!!」
思い切り辰馬の胸をドンドンと殴る。
バカ、バカ、、バカッ!!!
殺されるのかな?って思ったんだよ?
一応女の子だし、身の危険だって感じて。
そしたらもうお母さんにもお父さんにも会えなくなっちゃって。
生き残れたとしてもきっと辰馬に二度と会わす顔なんてなくって、とか…。
いっぱい考えて、いっぱい怖くって。
なのに。
「ごめんやー、泣かせちょってしもうてしょうまっことごめんやー」
殴られるがままで私が気が済むまでそうしててくれて。
恐怖から解放された私がその次に取った行動はただただ泣きじゃくるだけ。
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