first love[4/4]
「…続き近藤くんが書いておいて?帰る」
書類を押し付けて席を立とうとしたのに、私の手をギュッと握り締めて離してくれない近藤くんに。
「っ、もう用事ないから!!後は斉藤くんにだけ伝えておいてね?」
「ッ、無理っ!!!」
「む、無理ィ?!何それ?!近藤くんが言い出したんだよ?」
「そうだけど、そうなんだけど!!…やっぱ、無理。…バカ、だ、オレ」
「…バカなのは知ってる」
何やら苦悩の表情を浮かべる近藤くんに向き合って。
もう一度きちんと席についた。
「ダメだよ、花奈ちゃん!!好きな…、っていうかまだ好きでいてくれてるかはわかんないけど。好きな男がいるならそう簡単に何とも思ってない人と付き合っちゃ」
「…誰が勧めたのよ」
「っ、だって、オレさっき聞いたじゃん!!好きな人いるか?って」
「い、言えるわけないし?!」
「…だよね、…けど。言って欲しかった」
「振られるのわかってて?!」
近藤くんの思考がわからない。
「と、とにかくね?!ダメ!!斉藤はダメ!!斉藤は、ってか、あれ、他の男も…」
「…、近藤くん?」
「意識しちゃったら、想像しちゃったらダメなんだよ!!花奈ちゃんが斉藤と手を繋いで歩く、とか。キスするとか、そういうの全部想像しちまったら…何ていうか、すっげー…ヤダ」
「ッ!!!何、今更?!」
「今更なんだけどォォォッ!!!…ここ数日、斉藤に言われて意識して見ている内に、…。ああ、こういうとこが斉藤は好きになったのかも、とか。思ってる内に」
「…」
「ちょっと意識してる時に花奈ちゃんがあんなこと言うからッ!!!」
「なっ、最後私のせい?!何その責任転嫁?!」
「いや、転嫁しませんッ!!責任は取りますッ!!!だから、ゴメンッ!!!」
ゴメンって何?!と突っかかる前に。
目の前にいた近藤くんの顔が素早く近づいてきて。
唇に押し当たる、近藤くんの…。
「…花奈ちゃん?!」
気付くと目の前で手を翳して私が我に返るのを待ってる人が。
「近藤、くん…?」
「っ、はい」
「…責任、取ってよね?」
「ハイッ!!!」
「妙ちゃん、妙ちゃん、言わないでよね?!」
「ハイィィィッ!!!」
「…誕生日、今年は祝わせてよね、一緒に」
「ハイッ、ってオレの誕生日知ってたの?」
「…当たり前じゃん、3年も前から知ってる…」
そう唇を尖らすと。
「こ、近藤くん?!」
「ああ、ゴメンッ!!めちゃくちゃ嬉しくて」
目の前の彼は顔を真っ赤にしながら泣いている。
ハンカチを出してその顔にあてがいながら。
「ありがと」
笑いかけた私を包み込む大きな身体。
気付くのが遅くてゴメン、って。
申し訳無さそうな声は。
本当にね、と嫌味で打ち消しながらも。
見上げた30センチの差にあるその頬に手を伸ばし腰を低くさせてから。
今度は私から、チュッとキスをした。
fin
アトガキ
2014近藤誕生日いかがでしたでしょうか?
3Z近藤くん、純情そうで。
でも押しに弱そうなのはやっぱ人が好いから。
3年分の思いも全部ちゃんと真っ向から受け止めるのは責任力だけじゃなくて
これが勲の優しさであり愛だから♪
なんて思いながら書きました(笑)
勲、改めまして誕生日おめでとォォォ!!
また来年も祝えたらいいなぁ♪
余談ですが去年の誕生日のを読んだら3Z近藤くんが書きたかったとあり1年経ってもそれがブレてなかった自分に笑った。
そしてC組の斉藤くんは、想像通りあの斉藤くんです(笑)
2014.9.4 茅杜まりも
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