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「#幼馴染」のBL小説を読む
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first love[1/4]

「何?」

さっきから射るような視線を感じて顔を上げると。

一個の机に向かい合って椅子に跨いで腰掛けている近藤君がじっと私の顔を見ている。

「何で見てるの?!」

私が顔を上げてもまだマジマジと見ているから困惑してしまう。

「…やっぱ、花奈ちゃんって可愛いんだよね、うん」

「ハァァァ?!」

いきなりうんうん頷きながら真顔でそんなこと言うから。

思わず顔が火照ってしまうのがわかる、何言い出すんだ、この人!!

「っ、何なのよ、いきなり」

誤魔化すようにブツブツ文句言いながら書き掛けていた提出書類に目を通す。

できるだけ平静を装ってはいても聞きなれない言葉が気になって、さっきまでのように身が入らないのだけれど。

「うん、いきなりだよね?いきなりなんだけどさ、確かに花奈ちゃんって可愛いんだよね、何ていうか小動物系?」

「近藤くん、煽てても何も出ないからね?!それに書類作るの手伝ってよ!!これ提出しないと学祭の出店、うちのクラスだけ出せないんだよ?!」

…お願いだから動揺させないでよ、浮れそうになる。

「いや煽ててないよ?たださ最近になってそれに気付いたっていうか」

「!!最近って…、まあ最も近藤くんには愛しのお妙ちゃんがいるわけだしね?他の女の子に興味がないのもわかるけどさ」

…何かそれって地味に傷つく。

「だ、だってホラ、今までオレらこんなに近くで話したことなかったじゃん?」

それはあなたがいつもお妙ちゃんの方ばかり見ていたからだよ?

今までだって何度か隣の席になってたのすら覚えて無さそう。

3年生最後の学校祭。

学校祭実行委員、誰も面倒だ、受験もあるし、とやりたがらなかったそれに手を挙げた近藤君は。

『えー?!最後だよ?最後っ!!こうして皆とワイワイ騒げるなんてもうないし、やろうぜ?なァ』

なんて空回りしながらもう一人の立候補を待ってたけれど誰も手を挙げず(当たり前だけど)

だったら、ね。

『やります』

私が手を挙げると皆意外だったのだろう驚いて見てたけど。

最後だし、っていう近藤くんの言葉に切なくなったからだなんて絶対に言えないし。

こうして夏休みの間も時折実行委員会があるから、なんてね。


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